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全村避難から…
福島第一原発から半径20~30㎞圏内に位置する福島県双葉郡川内村。2011年3月11日の地震は震度6を記録、直後に起きた福島第一原子力発電所事故により全村避難が決定しました。それから約1年後の2012年4月、警戒区域解除となった村への住民の帰還が始まりました。行政機能は戻ったものの学校、商業施設などの生活基盤の復旧は十分でなく、帰還した住民の多くは高齢者でした。
©Kazuo Koishi
孤立する高齢者
2014年には原発事故以前の約4割の住民が帰還、2017年1月には約7割の村民が帰村しました。うち高齢化率(65才以上)は、2017年1月現在で約40%。高い高齢化率にも関わらず、介護施設の閉鎖や休業と福祉人材の不足、介護の現場では需要が追いつかない状況が続いています。若い世代が避難先にとどまるなどの理由から家族分離は進み、独居や高齢者のみの世帯が増えたこと、また病院など医療システム復旧の遅れから、認知症予防やそのケアについての対策の必要性が生じてきました。
世界の医療団 日本の取組み
そうした状況を受け、世界の医療団(Médecins du Monde:MdM)日本は精神科医と精神保健福祉士を村へ派遣、認知症予防や認知症患者を抱える家族への支援を開始しました。認知症またはその疑いのある方とその家族に向けた相談会の実施のほか、認知症についての啓発活動を行っています。
その取組みは・・・
- 認知症について正しく理解し、差別や偏見なく認知症の人と接することが出来るようになる
- 認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを実現するため、地域での理解・支えあいが重要であることを体感する
©Kazuo Koishi
安心して暮らせる村に
高齢者が安心して暮らせる地域の実現には、認知症患者を持つ家族と行政はもちろんのこと住民の理解と参加が欠かせません。より個別のケアが求められる福祉や医療の現場では、行政によるトップダウンの取組みだけでは限界がありました。
「認知症患者の話に耳を傾け、その人の生きる速度にゆっくりと寄り添う」あたたかな環境作りは今、それは住民主体の新たな取組みへと変貌しました。行政と住民、患者が対話し、それぞれが同じ立場で進めていくこの取組みは、他の自治体からも注目を浴びています。
MdM日本は川内村保健福祉課と協働し、帰村した高齢者が地域でいきいきと暮らせるコンセプトや施策など村づくりに対する助言活動を行っています。
*この活動のための資金の多くはジャパン・プラットホーム様「共に生きる」ファンドより、ご提供いただいております。
東日本大震災被災地支援 提言書「福島のこころ」
住民のニーズを知ること、声を聞くこと、つながりを作ること、一人ひとりの選択と時間を尊重することを軸にしたこころのケアが、今、福島の人々の強い回復力と行政の支えによって新しい地域社会の創造につながるよう、3つの提言をここに発信します。
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