©Olivier Papegnies

ガザ:デモで命を落とすこと、治療を受けるのに許可証がいること、あってはならないこと 

パレスチナで活動する世界の医療団(MdM)のチームは、境界線近くで起きた市民デモに対するイスラエルの暴力について、深い憂慮と遺憾の意を表明します。

3月末の金曜日、パレスチナ難民の帰還を求めるデモ部隊とイスラエル軍との間に最初の武力衝突が発生、それから6回目の金曜日を迎える頃には、イスラエル軍によって4人の子どもを含む45人のパレスチナ市民が犠牲になり、7930人が負傷しました。

WHOによると、武力衝突によりこれまで99人の医療スタッフが負傷、救急車18台が破壊される被害が確認されています。
ガザの病院では、これまで4045人(うち18%が未成年)の重傷者が治療を受けています。

必要とする緊急治療を受けることができた患者はその半数にも満たない、それはイスラエルからの許可証がない限り、ガザ地区外の病院に移動することができないからです。

ガザの病院は、緊急性の高い治療を必要とする患者、手術を待つ患者であふれかえっている状況です。
これらデモ参加者への行き過ぎた武力行使は、あきらかに人々の生活、健康、そして集会の自由を侵害するものです。2178人が実弾を受けて負傷、大半が下肢に銃創を負っています。深刻な外傷や血管損傷は、身体的な機能障がいを引き起こします。
イスラエルの陸・空・海からのガザ封鎖、それは11年以上にわたるもので、その状況下で起きたのが今回の危機です。国際人道法違反の事実がありながら、この集団的処罰は何百万人ものパレスチナの人々の生活に途方もない苦難をもたらしてきました。
ひとつひとつ物資の入手が可能になっていく中でも、日々、ガザ地区の至る所で封鎖の影響が感じられます。そして医療保健サービスは、今も常に多くの問題と困難を抱えているのが現状です。

– 水質汚染と飲料水の不足は、水を媒介とする感染症蔓延のリスクをもたらします
– 必須医薬品、消耗品は絶えず入手が困難です
– 4時間に限られた電気の供給は、プライマリーヘルスセンターや病院の医療サービスの質の低下を招いています

MdMは16年以上にわたり、ガザで活動を続けてきました。医療ボランティア、プライマリーヘルスセンター・スタッフ、6つの病院の救急外来チームとともに、緊急時即応準備や小児外科手術などを含む医療活動を行っています。
フランス、スペイン、スイスからなる世界の医療団の3つのチャプターは、2018年3月30日来の医療スタッフとガザ地区の一般市民に対するイスラエルの過度の武力行使を非難するとともに、国際社会に対しそれぞれの事件に対する独立性ある調査の履行を要請します。
「健康であることは権利」であり、尊重されなければなりません。また、一切の手続きや妨害なしに、ガザ地区外での医療アクセスが可能になることを実現させなくてはなりません。
最後に、MdMは、無条件での封鎖解除とガザ地区の閉鎖が直ちに終わりとなることを、欧州連合(EU)に要請します。

©Olivier Papegnies

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