避難指示解除から1年、現在の富岡町でのこころのケアの取組み計画や町の状況についての状況を知るため、双葉郡富岡町に新しく出来た「ふくしま心のケアセンターふたば出張所」を訪問しました。現在の街の様子について、お伝えします。
平成30年3月1日現在、町に帰還した住民は高齢者中心の458名*、帰還率は3.5%(町内居住者数*、住民登録人口*から算出)。
ふくしま心のケアセンターの調査では、7年経った今も、事故による影響で様々な課題を抱えた世帯も多く、きめの細かい心とからだのケアが必要と確認されていています。
*福島県富岡町ホームページ
富岡町は、原発事故の起きた福島第一原子力発電所から半径10km圏内も含まれているため、町の12%が現在も帰還困難地域となっています。
復興活動の大動脈である国道6号線では、多くの車が行き交っています。常磐線の浪江駅を過ぎたあたりから富岡駅の手前までは線量が高いことから、自動車のみが通行できる地域もまだ残っています。6号線沿いのある地点では、3.15μSV/h(手持ちの空間線量計値)を記録し、依然、線量の高い地点が部分的に存在することが分りました。
鉄道(常磐線)については、いまだ浪江駅と富岡駅間のみ不通となっている状態です。
平成29年3月30日に公設民営商業施設「さくらモールとみおか」が開設され、帰還住民や原発の廃炉作業員らの利用で、賑わっておりました。また、4月23日には県立ふたば医療センター附属病院の開設が予定されており、地域(富岡町、大熊町、楢葉町などの)医療体制については徐々に整いつつあるという印象を受けました。
環境省の家屋解体費用が助成されたことを受け、助成金申請期限の3月30日を前に駆け込みで申請された住民の方も多かったとのことで、解体工事が盛んであり、また、すでに取り壊しされた家も多いのか更地が目立ちました。帰還を諦めた住民も多かったためと、思われます。
かつて(3.11震災前)、原子力災害避難所となっていた富岡第一小・中学校
もともと気候も比較的温暖で住みやすい町として人気のあった富岡町は、まだまだ復興の狭間にある地域ではあります。ふくしま心のケアセンター、富岡町社会福祉協議会等の地域の社会資源と連携し、帰還住民の心とからだのケア活動を行っていく必要性を改めて感じさせられました。
玉手 幸一 東日本大震災被災地プロジェクト コーディネーター
この活動のための資金の多くをジャパン・プラットホーム様「共に生きる」ファンドより、ご提供いただいております。