【共同声明】シリア:停戦決議を無視し、人道支援を阻む東グータでの攻撃行為を強く非難します

シリア東グータ地区での激化する戦闘行為に対し、人道支援アクセスの確保と、確固たる停戦を求め、8つの人道支援団体が共同声明を発表しました。


(日本語抄訳)
東グータ地区での空爆や砲撃は、包囲された孤立地域での医療救助活動と人道支援を妨げてきました。2月24日には、国連安全保障理事会がシリアにおける即時停戦を求める決議を採択しました。

しかし決議採択後も激しい爆撃と空爆が続き、東グータでは人道的な救命活動も妨げられています。国連によると、諸機関の支援部隊は包囲された10ヶ所と、近づくことが困難な地域へ出発する準備ができています。この中には、東グータのドウマに留まる9万人分の支援物資を載せた45台分のトラックも含まれます。爆撃と戦闘はこのように人命救助を阻んでいます。

国際救済委員会(IRC)のデイビッド・ミリバンド委員長は次のように述べました。
「国連安全保障理事会の常任理事国が、確実に停戦決議が履行されるためにその影響力を行使しないのは恥ずべきことです。安保理の要求が速やかに実行されなければ、数十万人の市民にとって、東グータはいまだ地獄そのものです。」

24日に採択された国連安保理決議第2401号では「人道支援が安全に、妨害なく、継続的に届けられ、重体の病人と負傷者を搬送することができるよう、シリア全土において少なくとも30日間の人道的停戦の確立」を求めています。
マーク・ローコック緊急援助調整官はこのように述べます。
「国連安保理決議第2401号は履行されたのでしょうか?シリアに停戦はあるのでしょうか?答えは“No”です。」

約40万人が東グータに取り残され、深刻な飢餓に直面しています。包囲下にある東グータへの人道的な支援物資の搬送は、2017年11月以来1度だけであり、ここ数年間、物資の供給は極端に減っています。辛うじて残る備蓄で支援を提供する現地の団体もありますが、膨れ上がるニーズに応えることはできません。

「ここ数日、私たちのパートナー団体は短時間の停戦中に、約2,000世帯を対象に1世帯あたり15kgの小麦粉の配給を行いました。しかしこれらは、以前の備蓄からまかなわれたため、現在の莫大なニーズを軽減するのに十分ではありません。私たちは、食糧やその他支援物資を必要とする人々に届けるため、パートナー団体を支援する必要があります。」CAREシリア所長のウーター・シャープ氏は述べています。

26日、ロシアのプーチン大統領は、東グータで1日5時間の人道的休戦時間を設け、民間人の避難のために“人道的回廊”を設置するよう指示しました。しかし翌27日、赤十字国際委員会(ICRC)は、救援物資輸送の準備は整っているものの、5時間でその搬送は“不可能”であると述べました。さらに、東グータの住民たちによると、休戦指示以降も砲撃が続いていると報告されています。

国連安保理決議2401号は、イスラム国やアルカーイダ、ヌスラ戦線、その他テロ組織に指定されたグループに対する軍事活動の継続を認めています。また、決議は国際法に基づき、全紛争当事者が一般市民の保護を含む法的義務に応じることも求めています。27日には市民団体とグータ地区の反政府武装グループは、真の停戦を成立させるために必要な環境を提供し、指定されたテログループを追放すると表明した書簡を国連安保理に送りました。

Physicians for Human Rights(人権のための医師団)のスザンナ・サーキン国際政策パートナーシップ部長は訴えます。
「市民に人道支援を提供し、永続的な解決への希望を届けるためには停戦の実施が必須となります。国連安保理決議第2401号は、命を守ることができます。私たちはロシアに対して人類のためにその影響力を行使し、安保理の要求を即時に行動に移すよう求めるべきです。」

賛同団体:
CARE International
CCFD-Terre Solidaire
Independent Doctors’ Association (IDA)
International Rescue Committee
Médecins du Monde (Doctors of the World)
Mercy Corps
Physicians for Human Rights (PHR)
Union of Medical Care and Relief Organizations (UOSSM)

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