終わりなき紛争
シリアを巡る国際情勢の動きが活発化するなか、この紛争の終わりが見えることなく、依然シリア国内の人道的状況は危機的であることをお伝えしたいと思います。
いまだに何千人もの人々が殺され、負傷し、住処を追われ、包囲されています。病院、医療従事者たちは攻撃対象とされながらも、生命をかけ、大きな代償を払い、それでもなお医療活動を続けています。世界の医療団は、この悲劇的な状況を世界に伝え、そして人道法の遵守を訴え続けます。
11/28からジュネーブで開催された国連主導によるシリア和平協議に先立ち、11/22にロシアのソチでは、ロシア、イラン、トルコによる3者会談が実施されました。
「1310万が人道援助を必要とし、うち560万人が物資や医療など生活サービスへのアクセスが制限されている」国連人道問題調整事務所(OCHA)が声明を出しています。
裁かれることのない暴力
アスタナ会議にて緊張緩和(安全)地帯の設置の合意がなされたにも関わらず、シリア全土への爆撃は続いています。シリア人権監視団によると、11月13日には安全地とされていたアレッポ州西部のアタリブの市場が空爆され、61人が死亡、犠牲者の大部分は市民であったと伝えられています。
余りにも多い市民の犠牲
OCHAの報告によると、シリアでは2017年1月から3000人が死亡、うち1000人が一般市民であったといいます。戦闘によって人々は家を追われ、1日約6500人が避難せざるをえない状況、この戦争は一向に終わりが見えてきません。 「2017年、1,000人を超える市民が殺さました。」国際法で保護されるべきはずの病院が今も攻撃され、破壊されています。9月には、5日間で7回の爆撃があったとPhysicians for Human Rights(人権のための医師団)が報告しています。国際赤十字委員会(ICC)の報告書によると、シリアの医療施設の半分以上が既に破壊され、10万人以上が医療にアクセスできない現状が述べられています。
世界の医療団は、果てなき困難に立ち向かい、勇気と信念をもってシリアの病人や負傷者を治療する医療者、現地パートナーを支援し続けます。
世界の医療団は、いま再び、紛争当事者と国際社会に向けて、市民の保護、医療施設と医療従事者の保護を紛争当事者と国際社会に要請します。国際人道法、人々が医療を受けること、そして基本的人権、これらは尊重されなければならない、人間が有する絶対的権利なのです。