先月下旬より、ミャンマー中西部の州ラカインにおいてロヒンギャに対する暴力行為が激しさを増しています。約42万人の人々、その多くはロヒンギャが隣国のバングラデシュへ逃れています。国境を越えた人々の多くはバングラデシュのコックス・バザール県に留まっており、同地での人道支援のニーズは計り知れません。取るものもとりあえず逃げてきた避難民が廃屋のような建物や急場で設えられたキャンプに身を寄せていますが、水道や食料といった必要不可欠なサービスの供給はほとんどありません。医療に関しては、基礎的な疾患の治療や母子医療はその必要性が高いものの、アクセスは非常に限られています。なお、現在までに世界の医療団(MdM)の聞き取りを受けた避難民のうち80%が単身の女性(妊婦も多数含まれる)と子どもたち(半数は5歳以下)です。
医療、基本的人権の保障さえも断絶されているこの状況を受け、MdMは現地の活動パートナーに緊急チームを派遣、緊急人道支援活動を強化します。
避難民となった人々が必要な治療を受けることができるよう、MdMは医療支援を行っています。私たちが行う支援には、基礎的な疾患の治療や激しい暴力にさらされた全ての人々を対象とした精神医療も含んでいます。
「寛容を旨とする仏教徒がイスラムを排斥するのは、キリスト教を弾圧した戦国から徳川にかかる時代の日本を思い起こさせるもので、日本人として耐えがたいことです。ノーベル平和賞を受賞したアウン・サン・スー・チーさんの限界が見えたことなど政治の問題も諸所にありますが、それを抜きにしてもロヒンギャに対する国際社会からの人道支援をぜひ訴えたいと思っています。」世界の医療団日本の理事で外交評論家の磯村 尚徳はコメントしています。
現地では、非常に不安定な状況が続いています。この状況を受け、私たちMdMは改めて以下の2点について、強く訴えます。
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・一般市民がいかなる攻撃の対象になることがあってはなりません。
・そして人道支援に携わる全ての人々の支援活動は、政治などのあらゆるしがらみとは無関係に、国境両側の、危機にさらされているいかなる地域においても継続しなければなりません。
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