妊娠を望まない開発途上国の女性たち、およそ214万人。彼女たちには、家庭の事情や自身の健康を考慮した、計画的な妊娠・出産へのアクセスがありせん。世界における望まない妊娠の数は年間8,000万件、危険な妊娠中絶は2,200万件にも及ぶとみられています。世界100か国以上において、妊娠中絶が処罰の対象であったり、社会的な非難を浴びたりする現状があります。そのため、女性たちは秘密裏に危険な中絶処置を受けるしかありません。このような危険な中絶処置が原因の合併症による死亡は、妊産婦死亡率の主な要因の1つであり、その数は年間5万人にも及びます。
©Kristof Vadino
世界の医療団は、今年7月、2020年までに、開発途上国の1億2,000万人の女性が自発的な家族計画のサービスを受けることを目標に定めた「家族計画2020」に参加しました。「女性の性や妊娠・出産に関する権利は、プライバシーの尊重や、すべての個人がもつ自律性、完全性、そして、尊厳と同様、自由の原則、健康における平等から生じる基本的人権です。避妊する権利と妊娠中絶の権利は、女性の自律性に不可欠です。これらの課題は保健医療の領域を超えています」世界の医療団フランスの理事長フランソワーズ・シヴィニヨンは話します。
世界の医療団にとって、女性の性や妊娠・出産に関する健康や権利へのアクセスの改善は、最も優先する活動のひとつです。私たちは、あらゆる場所で―、危険な地域や難民支援の現場においても、現地の人々や保健当局と協力のもと、妊産婦死亡率を減らし、女性が自ら決定し行動することを妨げる政策や風習を変えるべく、活動しています。