世界の医療団の事務所には、時たま医療を志す学生さんが訪問されます。 そのほとんどが女子中高生の皆さん、看護師や助産婦を目指されているとのこと、私たちの活動をお話させていただいた後に必ず受ける質問があります。
「看護師として、海外の医療現場で活躍するのに必要なスキルは?」
これまで4ヶ国のべ18回にわたり世界の医療団のスマイル作戦(先天的疾患や戦災などが原因で、顔面や身体に著しい変形・損傷が生じた人々に修復外科手術を行い、“ごく普通”の社会生活を取り戻そうという医療支援プロジェクト)ミッションに参加された石原恵看護師にその答えを聞いてみました。
*ミャンマー・ミッション:術後回診
「気力、体力、語学力、そして日本の生活様式や医療機関で学んだことだけに捉われずに考えていく力、ずばり適応力です。開発途上国と呼ばれる地域では、日本の常識がその国では常識でないことが多い。最初から否定するのではなく、この国はなぜこうなのか?と考えることができる人が向いていると思います。」
*バングラデシュ・ミッション
「チーム医療である手術室看護師は、協調性もより強く求められます。スマイル作戦では、国籍の違う医療者が集まることから、医療者同士でも文化の違いがぶつかり合うこともよくあります。そんな時は否定から始めるのではなく、お互いが納得するまでディスカッションすることで同じ方向に持っていけるようにしています。日本ではこうしないけれども、たとえばフランス人の麻酔科医がこの方式がいいのではないか? という提案があれば、チームで傾聴し、納得がいくまで話し合いを行います。文化、考え方、慣習、医療技術も方式も違う中で、大切なのはそれぞれが同じ目的のもと違いや多様性を尊重しあうことでしょうか。日本で看護技術と現場での経験、語学力をつけた上で、海外のフィールドへとぜひ挑戦していってほしいですね」