2017年4月6日時点で160人が負傷、86人が死亡、死者の数は今後更に増えるとの痛ましい報告が世界の医療団の現地パートナーからありました。
世界の医療団フランス理事長のフランソワーズ・シビィニョンは「痙攣が続く、過剰な唾液分泌、呼吸困難、吐き気、嘔吐などの症状から、サリン中毒による可能性が非常に高いと思われます。世界の医療団は即時に治療キットと解毒剤のアトロピンを現地に送付しました。」とコメントしています。
シリアでの戦闘行為、攻撃が続く中、日に日に人道的状況は悪化、人道的支援もその活動が難しくなっています。ジュネーブでのシリア和平協議では平和的解決策を見出だすことが出来ず、また国連と安全保障理事会での和平に向けた決議案はこれまで幾度となく採決されましたが、その度に拒否権行使によって繰り返し廃案となりました。
その間にも、市民と病院に対する攻撃は激化するばかりです。「2016年には136の医療施設が爆撃の対象となりました。シリア医療インフラは壊滅的な状態にあり、この地獄ともいえる地に市民は6年も住み続けているのです。国際社会はいつまでこの虐殺から目を背け続けるのでしょうか?」
再び憤りの声を上げずにはいられません。戦争のルールとされる戦時国際法は完全に無視され、一般市民や子どもにガスを浴びせるような残酷な行為に対し処罰さえ行われることがない、この惨状に手をこまねいたまま私たちは傍観するだけでいいのでしょうか?
人道法を侵害する意図的な人類への攻撃が日々起こっているのです。海岸に打ち上げられた子どもの遺体、神経ガスによって犠牲となった子どもの写真のほかにどんな写真があれば、国際世論は動くのでしょうか?
世界の医療団は4月5日にブリュッセルで開催されたシリア支援会合にて、この非人道的犯罪の終結に向けた迅速な対応を改めて各国代表に要請しました。
世界の医療団はこれまでシリア北部にて、イドリブの住民に向けたプライマリーヘルスとリプロダクティブヘルスの医療支援を行ってきました。また紛争によって機能を失ったアレッポ、イドリブ、ダルアーの病院や関連の医療施設において、協働パートナーを通じた医療活動を実施しています。
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