2015年より世界の医療団(MdM)は、ギリアド社のC型肝炎治療薬ソフォスブビルの法外な価格設定について是正を求めるキャンペーンを展開してきました。2015年2月、C型肝炎治療薬ソフォスビル主剤の特許権に対し、MdMが改定請求を行った結果、2016年10月、欧州特許庁はギリアド社が特許出願要件をすべて満たしていないことを理由にその特許権を一部緩和する決定を下しました。今年3月には、ヨーロッパ17カ国で活動するNGOならびにCSO(医薬品販売業務受託機関)とともに、C型肝炎治療薬ソフォスブビル主剤の特許権に対し再び抗議の声を上げました。
これまで中国やウクライナではギリアド社の特許権の申請が却下され、またアルゼンチン、インド、ブラジル、ロシア、タイなどでも異議申し立てが行われています。
日本も例外ではありません。C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」(一般名レジパスビル/ソホスブビル配合剤)は一錠あたり約8万円。1日1錠を12週間投与する治療費の総額は1人あたり700万円弱。日本では保険適用の対象のため、患者の負担は実質月2万円。しかし、国内の推定190-230万人(出所:日本肝臓学会)の患者の治療総額は莫大な数字となり、国の医療保険財政の大きな負担となっていることはあまり知られていません。
薬価の特許制度については、製薬会社と政府間のパワーバランスの均衡が崩れることのないよう、時に法的介入が必要となります。特許制度においても絶対的な法的手段となる強制実施権がありますが、各国政府によってこういった法的イニシアティブが率先されるようこれからも MdMは働きかけていきます。