©Olivier Papegnies
自然災害の爪跡
2016年10月4日は、何十万ものハイチの人々にとって悲劇的な一夜でした。ハリケーンの物質的損害は深刻で、インフラは破壊され、家々の屋根は吹き飛ばされ、農地は荒れ果てました。国連の推計によれば、90万人の子どもを含む200万人以上の人々が被害を受けました。3か月が経過しても、80万人近くの人々が安全な飲み水や食料、そして医療支援を必要としています。
世界の医療団はハリケーン以前から同地で活動していたため、ハリケーン発生後、緊急チームの編成や移動クリニックによる遠隔地への支援など、ただちに対応を始めました。
このような緊急事態に熟達している、グランダンス県と南県の支援チームのコーディネーターのMimose Doudoute Augustusですら、「このような状況はこれまでに知らないし、経験したことがない」と言いました。それほど、ハイチの状況は危機的なものだったのです。
©Olivier Papegnies
コレラの流行を食い止める
この3ヶ月間に、特に医療へのアクセスから疎外されている12,000人あまりを診察・治療しました。交通や医療のインフラも壊滅的な被害を受けており、遠隔地に住む人々が医療にアクセスすることは困難でした。骨折している人、大きな傷が開いたままの人など、世界の医療団と出会うまで何の治療も受けられずにいたケースもあり、事態は非常に深刻でした。
同時に、ハリケーン後再び脅威となっている栄養失調とコレラという2つの致命的な病気の治療・啓発活動も行いました。コレラは、コレラ菌に汚染された水や食料の摂取により感染し、早期に適切な治療を行わないと死亡する可能性のある病気です。
2010年の地震の数ヵ月後、コレラが大流行し10,000人以上が亡くなりました。地震による衛生環境の悪化が感染拡大の大きな原因となったのです。
ハリケーン・マシューは、コレラの大流行に適した状況を再び生じさせました。世界の医療団は、コレラに対する緊急策を確立し、即座に対応しました。コレラ患者の迅速な治療に加え、感染予防のための教育・啓発活動も行いました。最悪の事態を防ぐため、世界の医療団は地域の人材とともに活動してきましたが、いまだ危機的な状況です。 世界の医療団は、このような人道危機的状況への対応とともに、緊急事態に備えることのできる県の安定した体制づくりも視野に入れて活動を継続しています。
©Olivier Papegnies
復興にむけて
度重なる地震、ハリケーン、洪水などの被害からの復興は、自然災害の多い日本に暮らす私たちが経験してきた通り、非常に長い道のりです。
ハイチの一日も早い復興、コレラの感染防止に、どうか皆さまのお力を貸していただけますようお願いいたします。
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