9月12日、アサド政権と反体制派による停戦合意が取り交わされ、シリアではつかの間の休戦状態に入りました。しかし、現地では依然として包囲地域に人道支援の手が届くことはままならず、人道支援団体は紛争当事者からの安全に関する保障確認を待つばかりの状態が続いています。
待機期間は日に日に耐え難いものとなり、それはシリアの数十万人の市民の苦痛、恐怖、絶望が膨らんでいくことを意味しています。シリア北部アレッポは既に廃墟と化し、4年もの間、東部地区では日に数回の爆撃が行われています。
現地では医療物資と人材の不足が続き、ショック状態にあったり、負傷した子どもたちの映像は見るに耐え難いものがあります。医療施設の60%が完全にもしくは部分的に破壊され、市民を治療する大勢の医師たちが空爆で死亡していく現実から私たちは目を背けてはなりません。アレッポ東部では、現時点で30万人の住民に対し医師35人の割合になっています。
また今回の休戦協定にも関わらず、シリアでは失踪、拘留、拷問など数万人が深刻な人権侵害を受けています。
これら全ては戦争犯罪であり、国際人道法に反する行為です。今すぐ止めなくてはなりません。
紛争が開始されてから5年間、私たちは絶え間なく紛争の当事者たちに包囲網の解除を呼びかけてきました。また、一般市民に対する全ての攻撃の即刻停止と国連安全保障理事会による和平への一貫した対応策の制定を要求し続けてまいりました。そして今年5月、医療従事者と医療施設の保護に関する決議がなされたのです。
私たちは国際人道法に反する数々の違反行為、そしてジュネーブでの和平協議の交渉決裂の結果に落胆し、そして非難の声を上げてきました。
2016年5月23日、24日に開催された国連人道サミットでは、国連加盟国による明確な意思決定がなされ、5つの基本責任分野に基づき紛争の終結に向けた取り組みを含む革新的なプログラムが制定されました。そして今、まさに行動を起こすべき時が来たのです。
私たちは信じたいのです。今回の停戦合意は、紛争終結に向けた第一歩であると…
今回の難民危機は、これまでの間、予測も解決策も見出せなかった結果です。
この未曾有の人道危機に対応するため、サミットではより責任を持った取り組みと体系化された対応策が講じられることが決定されました。
私たち人道支援団体は、情勢の行方を注視しつつ、シリアや他の紛争地域においてその戦火が絶えるまで、多くの人々が適切な受入れ体制がないままに暮らしを追われることがないよう、国際社会に引き続き訴えてまいります。
Dr.ジアド・アリッサ -シリア医療救援組織連合理事長
Dr.フランソワーズ・シヴィニョン -世界の医療団フランス理事長
カミーユ・ブラン -アムネスティ・インターナショナルフランス理事長