世界の医療団ギリシャ:ホテルを住まいに

ギリシャの首都アテネのダウンタウンの一角、昔ホテルだった建物に現在、シリア、アフガニスタン、レバノン、パキスタンやイラクからなどやって来た12の難民家族が暮らしています。
今年2月、世界の医療団はホテルを改装し、難民の居住用シェルターに建て直ししました。

世界の医療団ギリシャ:ホテルを住まいに
“House for all ハウス・フォー・オール(みんなの家)”と呼ばれるこのシェルターは改装以来、難民たちの生活の拠点になっています。「この建物は世界の医療団がアテネ市内で提供する3番目のシェルターです。ギリシャ全土において弱い立場にある多くの人々に医療を届ける、そういった私たちの理念に基づく活動のひとつです。」世界の医療団ギリシャの理事長Dr.Kanakis Nikitasは話しています。

世界の医療団ギリシャ:ホテルを住まいに
世界の医療団はメンタルケアを中心とした診療を提供、治療が必要な患者については、アテネ市内の公共病院や世界の医療団の総合医への照会を行っています。また身動きできない難民たちがギリシャの地域社会に接することができる機会を積極的に作っています。ギリシャ語レッスンは、大人たちに日課を与え、難民の子どもたちは現地の学校に通うことができるようになり、新しい生活へ順応するきっかけとなります。

世界の医療団ギリシャ:ホテルを住まいに
オフホワイトの4階建てシェルターにはシャワー、快適なベッドや充電装置、そして新たな暮らしを始めるためのサポートが揃っています。事実、このシェルターは地域社会との積極的融合の象徴として、2016年7月、欧州最大の人権擁護団体により大きな称賛を浴びました。

シェルター内の廊下や居心地のよい共有スペースは、子どもたちの格好の遊び場になっています。

世界の医療団ギリシャ:ホテルを住まいに
「人々はさまざまな理由のもと、ここに滞在しています。住民のほとんどが戦争やテロから逃れてきた難民たちであり、数ヶ月の間このシェルターに滞在していきます。」世界の医療団のソーシャル・ワーカーAntonia Katsariはコメントしています。

「彼らに難民申請が通るまで、私たちは落ち着いた暮らしができる家を探し続けます。家があることで、仕事を見つけ、自立することが出来るのです。ここの住民たちは、新天地への移転と家族との再会を心待ちにしています。」

彼ら難民のそれぞれの物語は、私たちの心を突き動かします。私たちの身にも同じことが起こるかもしれないのですから。

世界の医療団ギリシャ:ホテルを住まいに
もっとも弱い立場にある人々、難民の支援は、世界の医療団の重要な任務のひとつです。難民キャンプにおいては、UNHCRや行政機関、関係機関と協働し、必要性に沿ったソリューションを今後も提供してまいります。

写真上から:
-シャワー付き家族用の居住スペース。元はホテルだった建物を一から作り直しました。全ての部屋にマットレス付きベッドとエアコン、カーテンが備え付けられています。

-年上の子どもは小さい子の面倒を見ます。子どもたちは厳しい苦難を乗り越えながら、責任について学んでいきます。

-シェルターはかくれんぼに格好の場所かもしれません。両親の傍で子どもたちが遊ぶことができる安らかなひと時です。

-ソーシャル・ワーカーのオフィスには、シリアからの難民の絵が飾られています。

-エンジニアのQamarと彼の8歳の息子Yusufはピレウス港の近くで世界の医療団のスタッフに発見され、4ヶ月前にこのシェルターに入居しました。元シリア軍将軍の夫とは、トルコから欧州に到る行程ではぐれてしまいました。オランダへの入国を果たす前に国境が閉鎖、二人はギリシャで足止め状態となりました。2人は家族の再会プログラムを申請、このような安心できる場所で夫との再会を待つことができることに感謝しています。Yusufは9月から久しぶりに学校へ通うことになりました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新記事

参加する

世界の医療団は皆様からの寄付・
ボランティアに支えられています。