アフリカ大陸の東、インド洋に浮かぶマダガスカルでは近年、政治的に不安定な状況が続いていましたが、2014年頃からようやく安定の兆しを見せ始めています。しかし、経済、社会的に受けた打撃は大きく、医療、教育など様々な分野での支援は欠かせない状況が続いています。形成外科についても同様で、発展は遅れ、手術が必要でも受けることの出来ない患者の数は減ることはないなか、高い技術を持ち、手術が困難なケースにも対応できる世界の医療団のミッションには毎年、全国から多くの患者が集まります。
例年に引き続き今年も世界の医療団フランスが主催するミッションに日本から医師と看護師の2名(与座聡形成外科医、辻の内幸恵看護師)が参加しています。
8月6日の深夜に羽田空港を出発し、ドバイ、モーリシャスを経由、およそ27時間の空の旅を経て、現地時間の夜中にようやくマダガスカルの首都アンタナナリボに到着しました。同日に現地入りしているフランスからの医療ボランティアと合流します。
8月7日、待ち受ける患者を朝から診察し、翌日からの手術スケジュールを決めていきます。1日で診た患者は58名。そのうち27名が今回のミッションで手術を受けることになりました。休むことなく診察し、終わったのはもう夕方でした。
8月8日の月曜日から手術が始まりました。マダガスカルの手術室の環境は、決して恵まれているとは言えません。開けたら中々閉まらない窓、半分の電球しか入っていない無影灯、古い麻酔器など、フランスや日本での日常的な手術室風景とは大きなギャップがあります。そうした厳しい状況の中でこそ、現実に即しながらベストを尽くすことが求められています。
加えて10年目となるこのミッションの実績から、チームに対し現地から高い期待が寄せられています。マダガスカル人医師であり、世界の医療団マダガスカルでコーディネーターを勤めるニボは言います。「簡単な手術ならマダガスカルの医師でもできるようになってきているし、ほかの支援チームでも対応ができます。だからこそ、このチームの卓越した技術を持つ医師たちには、そのベストを尽くして、ほかのチームができない難しいケースに対応してもらいたい」
一人でも多くの患者に「笑(ス マ) 顔(イ ル)」を取り戻すため、フランスそして日本からやってきたボランティアたちは安全を第一に、手術を行います。手術を受けることができるのは、必要としている患者のうち、ほんの一握りにすぎないかもしれませんが、一人一人の患者に真摯に向き合い、彼らが少しでも良い明日を向かえることができるよう全力を尽くします。
スマイル作戦 マダガスカル2016
活動地: アンタナナリボ市内
日程:2015年8月6日(土) 〜 8月15日(月)
派遣ボランティア
■日本チーム(医師、看護師2名)
与座 聡(形成外科医)
辻の内 幸恵(看護師)
■フランスチーム(形成外科医、麻酔科医)3名