「世界難民の日」に寄せて ー写真が語る難民危機ー

今、起きている難民危機を取り巻く状況は、世界人権宣言の第14条「すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。」を完全に侵害するものです。

多くの人々が命を懸けて、爆撃や廃墟となった祖国から逃れてくるその主たる原因は、戦争なのです。シリア、イラク、アフガニスタンから、人々は北欧を目指し、祖国を離れる決意をします。バックパックに荷物を詰め込み、歩き、ゴムボートで海を渡り、バスに揺られ、家族全員で長く険しい道のりを進んでいくのです。そして、旅路を終えた生存者たちはシェルターを探しながら、新天地での新たな人生に希望を託します。

2015年、約85万人の人々がギリシャに辿り着き、そこから「バルカン・ルート」を通ってドイツやスウェーデン、デンマークへと向かいました。2015年9月14日、ハンガリー政府はセルビアとの国境に有刺鉄線のフェンスを設置し国境を閉鎖、周辺国も次々とそれに倣い、2016年3月にはマケドニアも国境を閉鎖、ついに難民の移動は不可能になりました。それからほどなく欧州とトルコは、難民送還を体系的に行う協定を結びます。この協定は、国境に設置されたフェンスの排除や国境封鎖の解除どころか、結果的に難民の排除につながるものでした。

世界の医療団は、難民の行く先々で医療支援活動を展開しています。ギリシャでは、当局の要請によりイドメニのキャンプが解体されましたが、エーゲ海の島々で、アテネで、テッサロニキで、現在も恐怖から逃れてきた人々のために活動を続けています。私たちはこれからも、彼らが直面している困難と共に闘っていくことを厭いません。

撮影:オルモ・カルボ(Olmo Calvo)氏。スペイン出身。第19回ルイス・ヴァルチュエナ人道写真国際賞コンクールで最優秀賞を受賞。バルカン・ルートが封鎖される以前の2015年8月から2016年3月までの間に撮影

*イメージをクリックすると拡大表示されます。


アテネにて


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イドメニにて


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レスボスにて


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バルカン・ルートにて


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