スマイル作戦ミャンマー2016 現地レポート

形成外科手術を必要としながらも、その機会に恵まれない患者たちに手術を行うスマイル作戦。
今回で7回目となるミャンマーでのスマイル作戦が、2月28日から3月4日にかけて同国中部の都市マンダレーで実施されました。
今回の活動に参加した辻之内幸恵看護師によるレポートです。

スマイル作戦ミャンマー2016 現地レポート
私にとって、今回3回目となるスマイル作戦。過去2回はバングラデシュでのミッションに参加しましたが、昨年来現地の治安情勢が悪化したため、バングラデシュではミッションを実施できない状態が続いています。前々回ミッションを行った子供たちの経過は気になるものの、どうにもならないのが現状。急遽、今回バングラデシュに派遣される予定だったボランティアが、ミャンマーに派遣されることになりました。一度はネピドー総合病院という話で進んでいましたが、ここでもまた急遽マンダレー総合病院に変更。急な変更にもかかわらず、ミッションを受け入れてくださったマンダレー総合病院のスタッフの皆様に感謝申し上げます。

スマイル作戦ミャンマー2016 現地レポート
ミッション先が決定し一安心、という間もなく、早速事前準備に追われます。なにしろ今回は看護師が私1人である上に大阪在住、前日まで勤務先の病院で通常業務ということもあり準備はすべて人任せになっていました。なおかつ今回参加する医療ボランティアは、ミャンマー初経験。事前情報としてミャンマーミッション経験者から患者やスタッフの情報は収集したものの、とてつもなく不安でした。

大阪から羽田空港へ向かい、バンコクを経由してのマンダレー入り。バンコクででは6時間近い乗継時間がもどかしく感じられましたが、マンダレー病院に到着するや否や多くの患者が廊下で診察を待ちわびており、6時間の休息は結果としてありがたいものになりました。私は診察にはつかず、日本とヤンゴンから到着した備品の荷解きと翌日の手術準備に追われます。病院に到着した時点で既に16時30分をまわっており、現地のスタッフの終業時間とあって作業をせかされます。聞いていた通り、スタッフは優秀で色々手伝ってくれるのですが、なにぶん何がどこにあるのかさえ把握できてない状況での指示だしは難しく、若干苛立ちつつ、事前準備は自分ですべきとの教訓を得たのでした。

スマイル作戦ミャンマー2016 現地レポート
診察場所から手術室までは徒歩3分の距離であり、診察の様子を把握したいところではありましたが、時間の無駄になると予想して準備を進めます。事前情報によると診察に訪れた患者数は50名ほど。「手術症例から外れる患者がいたとしても、40人ほどか?」と考えていたら、今回のミッション中日は国民の休日で病院は休みになるという事実をミャンマースタッフから聞きます。つまり、3日で40人近くを手術する計算になります。19時をまわって診察場所に戻ってみると、こちらも52名全ての診察を終了し、日程作りに取り掛かっていました。今回は3日のミッションになったこと、手術症例にあてはまらなかった患者、手術にはまだ早い症例などもあり、結果的には3日で27名の手術となりました。

スマイル作戦ミャンマー2016 現地レポート
妥当な人数になったと一安心していたところ、手術初日に形成外科医1名と麻酔科医1名が体調不良、その翌日には別の形成外科医1名と麻酔科医1名が体調不良と災難続き。それでも休めるはずもなくボランティア医師たちは懸命に手術に取り組み、またミャンマースタッフ、医師の完璧なフォローもあり、無事にスケジュールを終えることができました。私はといえば、休日に体調をくずし、1日寝るはめになりましたが、手術に支障はでなかったのでよしとします。

最終日、徐々に体調が回復してきた全員で何事もなく乗り越えたと思った矢先に、最後の患者がまさかの出血。すでに器械等は洗浄され、私は帰りのパッキング準備でその場を離れていましたが一旦部屋に戻ってみると、輸血が必要とされる状況ではあったにも関わらず、ミャンマー人スタッフと麻酔科の素早い対応で処置は既に完了していました。最後まで、ミャンマースタッフ、医師、麻酔科の対応の素晴らしさを実感するミッションでした。チーム医療だなと感じながら最終日の回診へ。
現地スタッフが手際よく患者を呼び込み、ものの30分ほどで診察が終わりましたが、ここでもまた、ミャンマースタッフの見事な術後処置に感動しました。前日に輸血まで行った患者は、何事かも無かったように歩いて術後診察を受けており、生命力の凄さを実感しました。

スマイル作戦ミャンマー2016 現地レポート
今回のミッションでは器械準備や手術運営を中心に担当していたので、患者たちとはほぼ関わることができませんでした。それでも最終回診日に手術を終えた子供たちの笑顔をみると、そして、患者のみならずその家族の笑顔で、私自身にもうれしさが込み上げてくるのです。


スマイル作戦ミャンマー


■活動地:ミャンマー・マンダレー
■マンダレー総合病院
■日程:2016年2月28日~3月4日
■派遣ボランティア
與座聰、吉村圭(形成外科医)
Bruno Dartayet、Nadia Smail(麻酔科医)
辻之内幸恵(看護師)

■手術と診察
診察人数:52名
手術人数:27名
手術を受けた患者の年齢区分(歳):
0~2 (5人)、3~5(8人)、6~10(5人)、11~20(7人)、21~30(2人)、31~40(0人)、41~50(0人)、51~60(0人)、61~(0人)、不明(0人)

*一番下の写真左が辻之内幸恵看護師

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