日頃のご支援いただいている皆様に感謝をお伝えするとともに、世界の医療団の本年度の活動についてご報告させていただきました。また短い時間でしたが懇親会の時間を設けさせていただき、寄付者、パートナー、医療ボランティア、企業ボランティアなど支援者の皆様と日本事務所のスタッフの交流を図る良い機会となりました。師走の忙しい中、関西や九州など遠方の方含めた約50名の方にご出席いただきましたこと、厚く御礼申し上げます。
世界の医療団の活動をご支援いただいているBNPパリバ証券株式会社様のご厚意により、会場をご提供いただき、本年度の活動報告会は開催されました。
はじめに世界の医療団日本・事務局長の畔柳よりご挨拶をさせて頂き、続いて世界の医療団日本による4つの国内外のプロジェクトについて、活動報告が行われました。
まずはじめに、ホームレス状態にある人々の精神と生活向上プロジェクト「東京プロジェクト」からは、高桑郁子看護師にお話いただきました。
看護師として海外在住歴が長く、スペイン語、フランス語にも堪能な高桑看護師は、都内の看護専門学校で教員をされる傍ら大学院の学生という2足のわらじを履き、更には世界の医療団のボランティア看護師としても活躍されています。東京プロジェクトの紹介のほか、「医療相談会に来る方、またシェルター利用者の特徴からはそこに至った経緯が浮かび上がってきます。最近の傾向としては、若年層、女性また高齢者の中には認知症を疑われる方が増えてきました。今後の課題として、そういった方々への支援方法の確立、また日本でも先駆的な活動である「東京プロジェクト」の成果を国内外に発信していく」との報告がありました。
続いて、プロジェクト担当の玉手、また増田利佳看護師より、福島そうそうプロジェクトの報告がありました。増田看護師は静岡県の医療型障碍児入所施設でチームリーダーとして勤務されるながら、相馬市の仮設住宅でこころのケア活動に従事、450km離れた福島県相馬市に月2回通い支援活動を続けられています。
東日本大震災からもうすぐ5年となりますが、復興の格差、地域コミュニティの崩壊、賠償交渉の長期化、家族の分離、いまだ続く放射能への不安、風評被害、支援する側の疲労蓄積、問題の風化など課題は山積し、さらには複雑化、個別化していく傾向にあります。2015年は、のべ約1000人の方に診察、訪問、カウセリング、講座参加などを通した支援を行ってきました。忘れない、続けるを合言葉に福島での活動を続けていくとの報告がありました。
次に国外プロジェクトとして、形成外科手術を必要としながらも、その機会に恵まれない患者たちを対象に手術を行うスマイル作戦では、プロジェクト担当の園田、また新井朋美看護師より発表いただきました。新井看護師は東京都内の形成外科クリニックに看護師として勤務され、スマイル作戦は2014年度のマダガスカル・ミッションを皮切りに、バングラデシュ・ミッションなどに計3回参加していただいており、今回は8月に行ったマダガスカル・ミッションについてお話いただきました。ミッションの進め方、スケジュールなど現場での一日一日を具体的に紹介いただいたほか、ご自身が医療ボランティアとして参加された経緯や感想、最後に「スマイル作戦」の名のとおりたくさんの笑顔に出会えることが今後のモチベーションにつながるとのお話でした。
ラオス小児医療プロジェクトからは、医療ボランティア・スタッフとして2013年よりラオスに駐在し、2015年11月末の任期満了をもって帰国されたばかりの木田晶子看護師に登壇いただきました。ラオス語能力を活かし、現地スタッフやその他国籍の駐在員、またアドバイザーの早川小児科医とともに現場を牽引していただきました。報告はラオスの紹介から始まり、ラオスの医療事情、「医療保健人材の育成、医療基盤整備、村落での健康教育普及活動、5歳未満児の医療費減免、ラオス保健当局との連携」というプロジェクトの目的において成果をあげてきたこと、現地医療スタッフが時間を守るようになった、患者さんに対する態度にも変化が現れ各々のモチベーションがあがったことが見てとれるなど現場でのエピソードを交えながら、私たちのプロジェクトが終了した後も現地でこの活動が引き継がれていくことなどお話いただきました。
最後にファンドレイジング・チームの松井より、本年度の世界の医療団のファンドレイジング活動についてご報告させていただきました。
スケジュールのご都合などから、今回の報告会にはご参加頂けなかった方々もいらっしゃることと思います。世界の医療団は今後も、世界の医療団の活動内容をより深く理解していただき、想いを共有するご支援者の皆さまの交流の場となるような会を企画してまいります。引き続き、世界の医療団へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。