ヨーロッパにおける難民受入れ危機 現地レポート

ヨーロッパ各国での難民の受入れ状況について、現地の情報をまとめました。
今、現地で何が起こっているのか、世界の医療団が現場での活動を通し見えてきた現状をご報告します。

ヨーロッパにおける難民受入れ危機 現地レポート
エリオット・ワイスランダー(世界の医療団スウェーデン)のコメント

難民が要望するのは主に情報である。「難民申請はここでするべきか否か?医師に診て貰うべきか否か?医療には大金が必要?医者は何処に?」といった質問が多い。もちろん、「どうすれば難民認定を受けることができるか?」という質問も多い。スウェーデン市民が「シリア人」支援を呼びかける一方で、他の難民たちは置き去りにされる傾向にある。特にアフリカ系移民と思われる人々がそうである。メディアはシリア難民だけを集中的に報道している。

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我々の従来の主要な支援対象であるEU圏内の貧困層や途上国の人々についても、以前にも増して取り残される傾向にある。お腹を空かせたロマの女性が、中央駅のテーブルに大量に並べられた食事(実際多すぎて捨てる程)を少し恵んで欲しいと手を出したものの、ボランティアによってまるでネズミやハトの様に追い払われる光景を目にした。同様のことは衣料品の集積場でも見られた。そこでは大部分が雨に濡れて廃棄処分される衣類であるにも関わらず、EU圏内からの移民は1枚も手に入れることが許されなかった。EU圏内の移民が支援を得ることを制限するかのような内容の告示さえも目にすることがある。彼らは社会の寛容さが大きく変化したことを身に沁みて感じ、得るお金もずっと少なくなっている。国に帰る切符を手に入れるか、飢え死にするか、手に入れたもの次第によっては、やがて深刻な事態を引き起こしかねない。

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最近、平等と児童保護担当の閣僚であり、社会的弱者である東欧移民問題の責任者でもある政府要人が有力紙2紙と会議の席上において、非常に挑戦的な2つの声明を出した。「東欧系移民にお金を渡すべきではない。渡さなければ、ここに来ることを思いとどまるだろうし、渡す側も何の助けにもならないことを理解できる」、そしてもうひとつの声明は「一時滞在の移民の子どもたちに、学校教育の機会を与えるべきでない」というものである。

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スウェーデン政府は、シェンゲン協定を支持することを改めて表明した。つまり、他のEU加盟国で難民申請を行った者は全て送還されることになる。しかし、世界の医療団スウェーデンは、多くの難民たちが不法滞在民として滞在し続けるだろうと予想している。

レポートは こちら(PDFファイル)から

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