東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート13

南相馬市で、こころのケアを担当している横内弥生臨床心理士の活動(第2回)レポートをお届けいたします。

東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート13
写真(上から)

1. ひまわりちぎり絵製作中2015年6月~7月

東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート13
2. 紙芝居活動(舞台寄付:世界の医療団)

東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート13
3. みんなでわらび餅作り

東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート13
4. 支援者支援2014年12月(保健センターにてお疲れ様会)


私のこころのケア活動(相馬広域こころのケアセンターなごみと協働)

1. 八方内仮設住宅(浪江住民)でのサロン活動
 (毎月第2、第4木曜日10:00~11:30)

プログラム:①血圧測定、健康観察 ②気功体操
      ③アクティビティ ④お茶っこ会

① 血圧測定しながら、「お変わりありませんか」とお話を伺う中で、体調の変化や睡眠困難などが話題になることもあります。

② とても簡単な気功(香功シャンゴン)なので、車いすの方も足や手に不自由なところがある方もご一緒にできます。皆さんが輪になって同じ動きをすることで、一体感もできてよい気持ちになりますし、健康増進効果もあることと思います。

③ アクティビティとしては、紙芝居の上演や季節の飾り物の制作や季節のおやつ作りなど、手指と頭を動かす活動をよく行います。私もなごみのスタッフと一緒に内容を考え、時にはファシリテーター役も務めながら、毎回参加者の皆さんと楽しい時間を過ごしています。現在は、全紙大(A1)のひまわりのちぎり絵に挑戦中です。時間がかかっていますが、やりがいもあります。サロン活動を通して、活き活きした生活をおくっていただければと思います。活動の中で住民同士の絆が深まり、互いに心を寄せ合い、助け合う様子を拝見してうれしく思います。

2. 訪問活動(アウトリーチ)

毎月、訪問する方、半年に1回くらい訪問して見守る方など訪問頻度はいろいろです。なごみの専門スタッフや保健所のスタッフと一緒に、訪問支援をさせていただいています。対象の方は小・中学生で発達障がいや不登校傾向の方、精神障がいのある方、津波のご遺族、アルコールの問題のある方、高齢でうつ傾向のある方、それらが複合している方などがいらっしゃいます。数回の訪問で顔なじみになると、こちらもリラックスしてお話も聞けますし、相手の方も打ち解けてくださって、ようやく、家族を失った悲嘆や引きこもらざるを得ない苦しみをのぞかせてくださいます。皆さん、決して声高に訴えられることはありません。ただ寄り添って気にかけていることを伝えながら、今のご体調などを聞きます。子どもさんの場合は、関わることがセラピーになっているのではないかと思います。中1からずっと不登校だったAさんがこの春、通信制の高校に合格、勉強を始められたときには感動しました。

また、80代女性の津波遺族の方は、毎回「待っていたよ」とおっしゃって、昭和初期からの暮らしを丁寧に話してくださいます。私も当時の生活や南相馬の地域性や文化を知ることが喜びになって、あれこれ質問したりします。60年以上にわたって築き上げてきた一家の生活を根こそぎ奪われて、子どもや孫と一緒の豊かな老後を失っても、人は生活をしていかなければなりません。生きがいをもって健康に暮らし、ご長寿を全うされることを願っています。

3. 行政や公的機関の様々な会議や保健所の行事への参加

これらの活動は、なごみに参加を要請されたものです。私がボランティア活動を行っている際に何らかの行事があれば、可能な限りなごみのスタッフと共に参加します。私にとっては地域の実情を知る勉強の機会ともなり、子どもの発達について心理的な知見が求められれば、意見を述べることもあります。

保健センターの子どもの健康診断(1歳半検診や3歳検診)に参加して、お母さん方の相談にあたることもあります。活動の中心は保健師さんたちですから、あくまで補助的なサポートですが、子どもの発達上の心配や震災や放射能の影響について、お母さん方の気持ちに寄り添いながら、その気がかりについてお聞きします。

*この活動のための資金の多くはジャパン・プラットホーム様「共に生きる」ファンドより、ご提供いただいております。

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