3,000人におよぶ亡命を希望する移民たちは現在、行政区内にあるかつて非公式のゴミ集積所であった場所でキャンプ生活を送っています。3月末、行政からの圧力で、人々はジュールス・フェリー・デイセンター近くの “Lande”といわれる荒地(ブルターニュ地方などに広がる荒野)に強制的に移動させられました。2015年の3月に開設された新センターは、1,000~1,500人もの人で溢れています。ある意味行政によって認知されたこの通称ジャングルの暮らしは、ヨーロッパでも例をみないほど劣悪な環境にあるといえます。トイレ(3,000人に20のトイレ)、食糧、医療の全てが不足し、最低限の生活水準も満たされていません。このスラムに男性、女性、子どもが暮らし、人口は日々増え続けています。これが本当にフランスで起きている現実なのだろうか?
6月中旬、フランス内務省はこの地に急ピッチで施設の建設を行うことを発表しました。 こういった政府の新たな取り組みは喜ばしいことではありますが、いつもながら対応の遅れを遺憾に思います。現在、進められている工事についても明らかに設備が不十分であることが浮き彫りとなっています。
状況が悪化するにつれ、緊張感が高まり人々は弱い立場に追い込まれていきます。この非常事態を受けて、われわれ人道支援団体はこれら難民を救うため、そして当局が責任を果たすよう求めるため、紛争や災害時における支援活動と物資の供給となんら変わらないアクションをとらざるをえませんでした。
・世界の医療団
移民向けの移動クリニックを設置、医療相談のほかカウンセリングやメンタル面のケアを提供
・Solidarités International
キャンプ住民へ飲料水、衛生キットを配布、またシャワーやトイレなどの衛生施設を設置
・Caritas France Catholic Relief
フランスの緊急支援チームを派遣、現地ボランティアたちと協働し、シェルターの建設やその要員を派遣、またスラムでの共同住居やその他施設を構築
・French Islamic Relief
小包3000個分の食糧を配布
喫緊の援助が必要とされていることから、私たち4団体は地域と国の行政機関に対し、包括的な計画案と対応策を早急に打ち出すよう働きかけています:
■内務省から発表のあった施設については、可能な限り早期完成を目指し、かつ実際のニーズ(衛生面、水、トイレ、電気、住居)に沿う形で機能も向上させるべきである。
こうした可及的速やかな対応に加え:
■次々とキャンプが作られ続ける悪循環を政府は断ち切るべきである。スラムを解体する際は、退去者全員のシェルターを確保するなどの事前準備がなされなければならない。適度な大きさのシェルターをフランス国内全域(ノール=パ・ド・カレー、イル・ド・フランスなど)に配置するよう要請する。
内務省はフランス国内の移民に難民申請を行うよう働きかけており、OFII(フランス移民統合局)とOFPRA(難民・無国籍者保護局)による特例措置が設けられています。正しい方向に進んではいるのですが、自治体のシステムとの連携不備によりその効果が表れていないのが現状です:
■カレーやパリでの難民申請から登録に至るまでには数ヶ月の時間を要する。欧州の指針とも反するこのような長い待ち時間はあらゆる措置を妨害し、今回の危機を招く結果となった。我々は、待ち時間を撤廃するよう政府に要望する。
■またダブリン協定も難民申請のプロセスが滞る一要因となっている。同協定の抜本的な見直しを待つのではなく、フランスでの受け入れを望む人々の難民申請がフランスで取り扱われるための、運用規定の速やかな変更を求める。