©Christophe Da Silva

貧困、差別、外傷や感染症…

危険と隣り合わせで働いても、病院に行けない

アジアの最貧国のひとつであり、地震が頻発することでも知られるネパール。
首都カトマンズでは、生活様式の変化にともない、1日およそ1,200トンの廃棄物が発生します。※
廃棄物処理のために働いているのは、カースト制により差別されている貧しい人たち。
人びとの暮らしを支える仕事をしながら、彼らは医療を受けることもままなりません。

※ネパール都市開発省2023

耳をつんざくほどの騒音と耐え難い悪臭。早朝、すでにゴミ捨て場には、何百もの人たちがゴミの山に群がっています。首都・カトマンズのゴミを投棄するためにブルドーザーやトラックが次々にやってくるなか、彼らは人よりも早くゴミを分別し、少しでもお金になるものを探し続けます。
この仕事には、常に事故の可能性があるだけでなく、ときには有毒物質やケガにつながる鋭利なゴミに触れることもあります。切り傷、火傷、有毒物質の中毒、破傷風などの感染症、骨折など、さまざまな危険があるにもかかわらず、彼らは収入を確保するために、ゴミの山と格闘せざるをえないのです。そしてたとえケガをしても、彼らの多くは治療を受けることができません。
廃棄物の処理システムが複雑なネパールでは、「下層カースト」(ダリットや不可触民とも呼ばれる)の人たちなど、最も不安定な立場にある人たちが廃棄物処理の仕事を支えています、その一方、この仕事は軽蔑の対象です。社会は、彼らを無視し、非難し、さらには攻撃さえします。
社会を支えるエッセンシャルワーカーでありながら、カトマンズ市に雇用されているのはごく少数で、それ以外の多くの人たちは安全や収入の保証もなく、不安定な状態のまま働き続けています。たとえケガをしても、経済的な理由などからなかなか治療を受けられず、その結果、深刻な事態を招いてしまいます。外傷は、破傷風などの感染症を引き起こすからです。ネパールには健康保険制度がありますが、制度はあっても経済的に利用できない彼らは、誰もが受けられるべき医療から取り残されています。


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*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。


世界の医療団の活動


都市の医療システムを変える


世界の医療団は、2019年にカトマンズに、最初のUHPC(Urban Health Promotion Centre=最も弱い立場の人たちのための健康センター)を設立しました。その際に世界の医療団は、廃棄物収集者のニーズに合わせた健康サービスを提供することを決めました。現在、およそ1万5000人に健康サービスを提供しています。成人の廃棄物収集者には、ジフテリアや破傷風の予防接種を無料で提供するなど、経済的に厳しい彼らにとって不可欠な存在となっています。
この試みはカトマンズ市によって引き継がれ、センターは32ヶ所まで増えています。世界の医療団は現在も、そのうちの5ヶ所で直接、医療を届ける支援を行っています。


健康だけでなく、人としての尊厳を守る


インドとの国境に位置するネパールガンジでも、世界の医療団はUHPCを立ち上げました。この町で500年以上にわたって廃棄物処理を担ってきたバルミキ族は、ほかの仕事をすることを許されず、食事の場をともにすることもできない、厳しい差別に遭ってきました。
世界の医療団は医療を届けるだけでなく、この根深い偏見に対して、バルミキ族を支援しています。彼らのコミュニティが自分たちの権利を主張できるように、組織化を支援しているのです。バルミキ族のジャグディッシュ・バルミキさんは、「力を合わせることで、より尊重されていると感じられるようになりました。これは、労働条件を改善するための交渉におおいに役立ちます」と、うれしそうに語りました。
彼らに必要な医療を届けるだけでなく、人としての尊厳が守られるよう、世界の医療団は活動しています。


世界の医療団の活動の成果


17万4053人の状況が改善しました 

14ヶ所の医療機関を支援しました

61人の医療従事者に研修を実施しました

世界の医療団ジェネラル・コーディネーターのアブドゥル・サブール・カーン

「当初、2015年にネパール政府がUHPCを導入しようとしましたが、実現しませんでした。そこで世界の医療団が、このすぐれたシステムの有効性を証明するために、最初のセンターを立てたのです。この試みは大成功に終わり、首都で広がっています」

©Christophe Da Silva

このように世界の医療団ではただ医療を届けるだけではなく、医療を現地に根づかせ、さらに広げられるように活動しています。

< ご支援はこちらから >

ネパールで廃棄物処理を担う人たちの現状を、日本で目にする機会は
決して多くありません。
広く知られていない人たちだからこそ、
この機会に、その声に耳を傾けていただけませんか。
あたたかいご支援をお待ちしています。



*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。


©Christophe Da Silva


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