世界の医療団は、バングラデシュ・コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプとホストコミュニティでNCDsの予防事業を行っています。事業の柱は二つで、一つは保健ボランティアによる予防啓発(健康教育)、もう一つは連携医療機関の能力・体制強化です。
2024年12月28日、バングラデシュ・コックスバザールのロヒンギャ難民を受け入れているホストコミュニティで非感染性疾患(以下、NCDs)イベントを開催しました。 同イベントは8月の政変の余波で開催を見合わせていましたが、ようやく実施にこぎつけることができました。
ホストコミュニティでは、コミュニティクリニックの周辺地域で啓発活動を行っていますが、クリニックが管轄する地域は広大で、トムトムと呼ばれる三輪オートバイなどの公共交通機関では片道40分から50分かかる遠隔地に住んでいる住民も多くいます。こうした住民の中にはクリニックの場所すら知らず、これまで一度も健康教育や健康診断(血圧・血糖測定など)を受けたことがないという人たちが少なくありません。
NCDs予防イベントは、こうした住民に対し、イベントの開催を通じて健康教育や健康診断を実施し、人々のNCDs予防に対する意識の向上を図ることを目的としています。
イベントは事前に保健ボランティアが村の世話役を通じて住民たちに案内しました。当日は20名の参加を想定していましたが、2倍を超える49人(男性15人、女性34人)が参加しました:
血圧測定 | 49人(男性15人、女性34人) |
血糖測定 | 44人(男性13人、女性31人) |
個別健康教育(血圧測定で異常値を示した人々) | 8人(男性2人、女性6人) |
個別健康教育(血糖測定で異常値を示した人々) | 4人(女性のみ) |
イベントに参加した人々からは、以下のような感想が寄せられています。
アノワラさん(女性、NCDsなし) こんな健康教育を今まで受けたことなかったです。健康教育では、野菜摂取の大切さや塩分・油分の過剰摂取がよくないことを知りました。私は、噛み煙草を習慣としているけれど、数を減らしたいと思っています。 |
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トフラさん(女性、高血圧・糖尿病) 私は高血圧と糖尿病を患っていて、病院で処方された薬を飲んでいます。このような健康教育を受けたのは初めて。バランスのよい食事や野菜摂取、運動の重要性や油分の過剰摂取はよくないことを知りました。私は油を減らさないといけないと思いました。 |
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ライラさん(女性、高血圧) 私は高血圧があって、調子がよくないときにだけ医者(伝統医)に行って薬をもらっています。これまでこんな僻地に誰も来たことがなかったから、イベントのすべてがよかった。こんな健康教育は初めて受けたし、私は塩分を減らさないといけないことがわかりました。 |
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また、同イベントは地元の新聞にも取り上げられ、地元コックスバザールでもNCDs予防への関心が高まっていることがうかがえます。
দূর্গম এলাকায় পালস বাংলাদেশের চিকিৎসা সেবা
以上より、NCDsイベントが住民のNCDs予防に対する意識の向上と望ましい行動変容への動機づけになったことがわかります。しかしながら、今回イベントに参加した住民は全体のほんの一部で、まだまだ遠隔地での予防啓発やNCDs診療サービスのアクセス改善のニーズの高さがうかがえます。世界の医療団は、人々の保健医療へのアクセスの改善のため、今後も活動を継続していきます。
写真はすべてⒸMdM Japan