世界の医療団はジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成により、バングラデシュでロヒンギャ難民とホストコミュニティへの支援で協働している現地団体のPULSE Bangladesh Societyとともに洪水の大きな被害を受けた東部フェニ県で被災者への巡回診療を行いました。
計72ヶ所で主に学校施設をお借りして、のべ2万1600人の診療を計画していましたが、最終的に2万3405人の診療を行いました。72ヶ所を一度、回った後に同箇所を再訪してフォロー診療を行ったのですが、人々の高い期待を感じられました。
ただ、このような支援は本来、政府が行うべきものです。とはいえ、私たちが長年コックスバザールで取り組んでいるロヒンギャ難民を受け入れているホストコミュニティでの診療所への支援でも痛感していますが、人材・資金・薬剤の不足などの課題があります。こうした現状に加えて、8月上旬には政変(市民の抗議行動による前政権の崩壊)が起こりました。 フェニでもこれまでにご紹介したような巡回診療の患者さんの何人かとお話ししたのですが、ほとんどの人々から同様の課題について聞きました。コックスバザールでは制約がある中で診療能力向上のための技術支援を行っていますが、フェニでも同様の支援が必要であると思われます。
気候変動により洪水のリスクが高まっています。フェニでも人々が経験したことがない洪水が起こりました。世界気象機関によると2000年から2015年の間に洪水リスクが高い地域に住む人々は5800万人から8600万人と24%増加しました。残念ながら、この傾向は継続すると思われ、海に面して大半の地域の標高が低いバングラデシュはリスクが高い地域に含まれています。
こうしたリスクに備えるためにも、診療所の診療能力向上や人々が健康についての知識を得ることへの支援は、人々のレジリエンスを高めるという点でも必要です。
引き続き世界の医療団へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
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バングラデシュ洪水被害支援を開始しました
バングラデシュ洪水被害:現地からの報告
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