バングラデシュでは5月下旬のサイクロンの到来や、8月下旬から降り続いた大雨により600万人近くが被災する大洪水が発生しました。世界の医療団はロヒンギャ難民とホストコミュニティへの支援で協働している現地団体のPULSE Bangladesh Societyとともに、大きな被害を受けた東部フェニ県で被災者への巡回診療を始めました。これはジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成によるもので、主に学校を借り、1日150~200人の人々を診療しています。
患者の1人であるモハマド・ハッサンさんからお話を聞きました。
「右足をけがしたのですが、洪水でこれが悪化したので来ました。地元の診療所や病院では医者がいなかったり薬がなかったりするので、ここで診察を受け、薬をもらえて助かります。幸い、家は大きく壊れなかったのですが、農地が水に浸かり、家畜が流されて大変です」
その後、ハッサンさんは近隣の洪水の影響を受けた村を案内してくれました。彼の親族であるイブラヒムさんの家は損壊し、今は鶏舎で寝泊まりしているそうです。「夜中に突然、大水が来たのです」と言っていました。今は水が引いているのですが、道はぬかるみ、土手は壊れて寸断されていました。あちこちに壊れた家屋の跡が見えます。村の人達は自力で道の補修を行っていますが、政府の支援はまったくないそうです。井戸からは水が出ますが、鉄分の臭いがし、洪水の前はそうではなかったということです。「ぜひこの現状を広く伝えてください」と村の人々は言います。
自然災害による環境の変化や、特に水衛生の悪化は人々の健康に影響を与えます。世界の医療団はまず医療の必要を抱える人々を診療し、背景にあるニーズと支援方法を探っていきます。
©MdM Japan