幾多の危機に見舞われるアフガニスタン
人口の半分以上が人道支援を必要とする深刻な事態
40年にわたる紛争、経済状況の悪化、地震や干ばつなど深刻な自然災害がもたらした食料危機など、アフガニスタンは度重なる人道危機に見舞われてきました。2021年8月には、20年間にわたって駐留していた米軍が撤退し、武装勢力タリバンが再び権力を掌握。テロや衝突が減少したとされる一方で、戦争が残した地雷や武器などの脅威、社会的・経済的混乱による避難民の増加、タリバンによる女性の権利の制限など、アフガニスタンは今も不安定な情勢にあります。なんらかの人道支援を必要とする人の数は全人口4400万人のうち2370万人、健康や医療に関する支援を必要としている人は1790万人に及びます*。
*国連人道問題調整事務所(UNOCHA)、2023年12月
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*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。
アフガニスタンの医療の現状
ラアフガニスタンでは非常に多くの医療ニーズがある一方、医療へのアクセスが深刻な問題となっています。タリバンが政権を掌握して以降、諸外国や国際機関からの資金援助が著しく減少、医療従事者の国外流出や医薬品、資機材の不足などに直面し、医療施設の運営が困難に陥りました。もともと脆弱であったアフガニスタンの医療システムは数ヶ月のうちに崩壊、今も必要な医療を十分に提供できる状況にありません。栄養失調に苦しむ子どもたちの急増や感染症や伝染病の蔓延に対応することができず、とりわけ、母子保健分野では妊産婦死亡率が出生10万あたり620人、新生児死亡率が出生1000あたり34人*と世界でも最低の水準にあります。
*「世界子供白書2023」、国連児童基金(UNICEF)
©Nuria Díez
世界の医療団の活動 ―命と健康を守るために
地域の医療アクセスを確保する
世界の医療団は1982年以降、アフガニスタンの不安定な情勢のなかで2012年まで30年にわたって活動を続けてきました。2022年4月から再び、タリバンの政権掌握後の医療システムが崩壊状態にある同国において、人々が必要な医療に迅速につながれるよう医療アクセスの改善、強化を行っています。
2022年4月~
首都カブールにおいて、国内避難民とそれを受け入れるホストコミュニティの一次医療へのアクセス(栄養、こころのケア、母子保健を含む)を改善するため、1ヶ所の病院と、難民キャンプに近い2ヶ所のヘルスセンターの支援を実施。2023年7月~
・中部ワルダック州に事業地を拡大。現地NGOへの技術的・財政的支援をするとともに、へき地にある3ヶ所のファミリー・ヘルス・ハウス(基本的な医療サービスを提供する施設)への支援を実施。また、遊牧民であるクチ族を対象に、移動診療を行う。・首都カブールで薬物使用者のハームリダクションを行う現地NGOへ技術的・財政的支援を開始。
今後の展開
・中部ワルダック州においてさらなる事業地の拡大を検討。・洪水や地震など頻発する自然災害、社会的混乱等による大量の避難民の発生、新たな感染症の蔓延など、緊急事態への備えの強化。
©MdM France
女性と子どもへの重点的な支援
タリバンが政権を奪取した2021年8月以降、女性たちがそれまで勝ち取ってきた教育や就労といった様々な自由や権利が厳しく制限されています。また、アフガニスタンで人道支援を必要としている人のうち、25パーセントが女性、52パーセントが子どもたちです*。このような状況によって、女性や子どもたちは人道支援へのアクセスが困難になっており、医療においてもその影響は非常に深刻です。世界の医療団は、カブールの病院の一部を女性と子ども専用に改修し、分娩や新生児の対応、婦人科、小児科の診療にあたっています。また、助産師を志す人々のトレーニングを行うなど医療人材の育成にも力を入れています。*国連人道問題調整事務所(UNOCHA)、2023年12月
現地からのメッセージ世界の医療団 アフガニスタン事業責任者 ユーゴ・アルバレス |
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長期にわたる混乱により、アフガニスタンの人々は常に不安定な環境で生活してきました。 支援活動もたびたび中断を余儀なくされている状況ですが、 ひとりでも多くの人々に医療を届け、命を救うため、世界の医療団は活動を続けていきます。 どうか皆さまのあたたかいご支援をお願いいたします。 *世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。 ©Nuria Díez |
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