ウクライナにおける2年間の戦争:人々は心身のケアを緊急に必要としています

ウクライナの戦争が3年目に突入しようとしている今、世界の医療団は、人々の身体的・精神的健康への継続的な支援を強く求めます。

愛する人を失うこと、病気、避難、不安、経済的苦境、そして国中で絶え間なく続く空襲: この2年間、ウクライナの人々は戦時下の国で暮らすという現実に耐えなければなりませんでした。戦争が長引けば長引くほど、心身の健康へのリスクは高まります。本格的な侵攻から2年の節目が近づくなか、世界の医療団は国際社会に対し、ウクライナの医療を支援するよう呼びかけ、特にビデオキャンペーン「#AsLongAsItTakes」で人々のメンタルヘルスの必要性を強調しています。

政府と国際NGOによる2023年のデータによると、ウクライナ国民の半数以上が潜在的にトラウマとなる出来事を経験しており、さまざまなレベルの心理的サポートを必要としています。前線近くにいる人々は医療を含む基本的なリソースにアクセスできずにもっとも苦しんでいます。そして国内の他の地域では、大部分の人々が深刻なレベルの不安と絶望を経験しています。

「不確実な状態が長く続くことは非常に大きなストレスをもたらします。いつ戦争が終わるかわかりません。自分や愛する人がいつ前線に駆り出されるかもわかりません。戦争は、既存の制度的、地域的、個人的な問題を深刻化させます。つまり、ミサイルで殺されるという恐怖に加え、人々の日常的な問題も依然として存在しているのです。これらすべてが深刻な心身症、パニック発作、うつ病、あるいはそれ以上の症状を引き起こす可能性があります」と、世界の医療団メンタルヘルス・コーディネーターのパナギオティス・コンドロスは言います。

同時に、武力紛争によって悪化した多くの場所の医療システムは増大する住民の健康ニーズに対応できないでいます。世界の医療団は臨床心理士を含む移動診療によって現地の医療システムを支援しています。さらに、深刻な病気にならないうちに個人のメンタルヘルスをサポートすることをめざしています。例えば、かかりつけ医やソーシャルワーカーなども対応できるように研修を提供しています。患者の危険な兆候を見つけるだけでなく、彼らが自身の回復力を高めることも教えられます。もうひとつの革新的な方法は、いわゆる再現劇で、観客が問題に対処し、コミュニティを結びつけるのに効果的です。

「最初のセッションでは、私は話すことができず、ただただ泣いていました。数ヶ月前から世界の医療団の臨床心理士との個人セッションに参加していますが、私の心理状態はかなり改善されました。心理士は私に世界を違った見方で見ることを教えてくれたので、今では生き続ける強さを手に入れました」と、世界の医療団の移動診療の患者であるユリヤ・ニコラエンコさんはチェルニヒウ州シシキフカ村でこう語ります。

本格的な戦争が始まって以来、9万2000人以上の人々が世界の医療団による治療を受けました。1万7680人以上が、メンタルヘルスと心理社会的支援を受け、合計でのべ13万1900件以上の相談を実施しました。

そして世界の医療団は、必要とされる限り、これからも人々のために存在し続けます。




しかしそのためには、医療インフラと人員が保護されねばなりません。戦争が始まって以来、122人の医療従事者が死亡し、237人が負傷しました。さらに、21人の人道支援者が死亡し、40人が負傷しており、その大半はウクライナ人職員です。世界の医療団は、国際人道法に基づいて、人道支援従事者やインフラが攻撃の標的になってはならないことを関係責任者たちに訴えます!

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