ロヒンギャ難民キャンプとホストコミュニティでは、慢性的な運動不足や偏った食生活、喫煙の習慣、脆弱な医療体制と健康情報の不足などから、高血圧や糖尿病などの非感染性疾患(NCDs)を患う人が多く、これらの予防や適切な管理が喫緊の課題となっています。世界の医療団は2021年3月に外務省日本NGO連携無償資金協力によってNCDs予防対策事業を開始。現在まで年度ごとに継続して実施しており、難民キャンプとホストコミュニティの両方で、保健ボランティアによる予防啓発と、連携医療機関の能力・体制強化支援を行っています。
住民にとって長年の習慣や社会的慣習はすぐに改めることが難しく、繰り返し何度も正しい情報を伝え、実施できているかモニタリングを行いながら定着を図る必要があります。
ロヒンギャ難民キャンプとそのホストコミュニティでの11月と12月の活動成果を報告します。
難民キャンプで
NCDs 予防・管理のための健康教育の実施とモニタリング
専門家の指導と監督のもと、コミュニティ・ヘルス・ボランティアが、 20 歳以上の成人に対する家庭訪問を通じた NCDs 予防・管理のための一般健康教育や、40 歳以上の NCDsに罹患した成人と家族などその支援者に対する個別健康教育を実施しました。家庭訪問の際には 健康教育の内容を簡潔にまとめたリーフレットを各世帯に配布。並行して連携診療所を受診した20 歳以上の患者とその家族に集団健康教育を実施しました。
11月と12月の実績
一般健康教育 772人
個別健康教育 40歳以上のNCDsに罹患した成人 465人
主たる支援者 458人
集団健康教育 127人
合計 1822人
NCDs の検査・診療サービスのモニタリング
NCD担当者は、連携診療所で週 2 回NCDsの検査・診療サービスのモニタリングを実施し、NCDs の検査とNCDs 罹患の有無の判断等を行うスクリーナーと、健康教育を行うヘルス・エデュケーターに対し、評価と助言・指導を行いました。下記グラフのように着実に能力を伸ばしています。
モニタリング結果の推移
■ホストコミュニティで
NCDs 予防・管理のための健康教育の実施とモニタリング
難民キャンプと同様、専門家の指導と監督のもと、ボランティアが一般健康教育と個別健康教育を実施しました。また、NCDs予防のための標語をいつも目にしてもらえるよう掲載したカレンダーを作成し、健康教育の際に各世帯に配布しました。
11月と12月の実績
一般健康教育 1037人
個別健康教育 40歳以上のNCDsに罹患した成人 488人
主たる支援者 432人
合計 1957人
NCDs の検査・診療サービスのモニタリング
NSDs担当者は、二つの診療所で週 2 回、NCDsの検査・診療サービスのモニタリングを実施。NCDs の検査・診療サービスの評価と、これに基づいた助言や指導を行いました。
モニタリング結果の推移
診療所の見学ツアー
週に1回、健康教育に参加した20歳以上の成人やその家族のうち、地域の診療所への見学ツアーに興味や関心を示した人に対し、見学ツアー実施しました。12月末時点で、累計211人が参加。見学後には参加者と医療スタッフとの意見交換の場を持ちました(詳細はhttps://www.mdm.or.jp/news/26805/)。ツアー参加後は、検査や診療サービスについての理解が得られ、前向きな関心が寄せられました(下記グラフ)。より理解を深め知識を定着させるために、今後も家庭訪問を通じた継続的な周知や理解度の確認を行っていく予定です。
診療所見学ツアーのアンケート結果