ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート12

~村落健康普及ボランティア(VHV)の地域活動を創る~

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート12
ヘルスプロモーター(健康推進員:HP)とも呼ばれるVHVは、地域保健医療システムの土台として、システムが継続していく仕組みの大事な一部を担っています。現地活動レポート9では、VHVがどんなふうに自分たちが暮らす村で活動しているのか、をお伝えしましたが、レポート9に登場したようなもともと看護知識を持ち合わせたVHVはまれな人材で、看護や医療に馴染みのない状態でVHVに選ばれた村人も多くいます。なので、彼らが村で健康集会を開くためには、まずは彼らが医療の基本知識や技術を身につける必要があるのは言わずもがなです。
今回は、彼らがどんなふうにHPとしての知識を身につけていくのか、VHV研修をご紹介します。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート12
VHV研修は2~3ヶ月に1回、世界の医療団スタッフであるコミュニティワーカーとメディカルオフィサーが中心になって企画開催します。支援対象である医療施設がカバーする地域ごとにVHVを集めて、その月のトピックを一緒に勉強するので、ひとつのトピックにつき合計12ヶ所で行うことになります。

写真1・2は、2014年7月16日に行ったムラパモク郡のカダンヘルスセンター地域での研修の様子、写真3・4は翌日にノンガヘルスセンター地域のVHVと行った研修の様子です。
主なトピックは家庭内事故の応急処置でした。子どもが食べ物をのどに詰まらせた時、出血した時、などの対処です。スクリーンで理論、写真や映像を確認したあとは、練習用の等身大人形をつかって実践練習です。今回の集会では、HPが集会で村人に手渡せる5歳未満児健康啓発リーフレットや、彼らが活動時に使用できるカバンも配布しました。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート12
こうして自分が学んだあと、健康教室開催の日時を設定して村人を集めたり、別の行事で村人が集会所に集まった際に健康教室の時間をとったりして、地域で健康について普及していくのです。なので、HPは伝える内容のみならず伝え方の工夫を学び、開催に当たっての調整・準備や周知のネットワークを築く必要もあります。1回につき2時間ほどの集会には、無報酬でこの役割を担う彼らの労力と時間が注がれているのです。もちろん、集会だけではなく、村人に何かがあった時に最寄りの医療機関につなぐこと、緊急搬送手配などを率先して行うのも彼らの役割なので、日々緊張感の伴う任務であると言えます。まだまだ医療機関を受診することに抵抗感のある村人も珍しくないので、様々なハードルのなかで活動しているはずです。 従い、VHV研修会は、VHVと課題共有をしながら各地域の現状を把握し、問題の解決に向けて一緒に検討する時間にもなるので、数ヶ月に1回は彼らをサポートすることができる村長さんら村の要人にも参加してもらいます。世界の医療団はこんな地道なVHVの日々の活動が、村人たちの健康生活を支え、地域の保健医療システムが育っていくことを目指しています。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート12

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