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ウクライナでの支援活動アップデート ー2023年8月

2022 年 2 月から 2023 年 8 月までに、医療インフラへの攻撃が 1100 件ウクライナで発生しました。これは、同じ期間に世界中で報告された同様のすべての攻撃の 60%以上にあたります。ウクライナでの戦争は、2023年を通じて激化し、容赦のない攻撃と地上戦によって人命や生活、国のインフラの一部が破壊され、人道支援の必要性が高まりました。
住宅、学校、水道システム、病院が攻撃され続けました。南部では、黒海穀物イニシアティブ(※1)が7月に終了して以来、港湾と穀物インフラに対する攻撃でウクライナからの農産物輸出はさらなる課題に直面することになりました。国連人道問題調整事務所(OCHA)の報告書によると、このことで、多くの地雷が農地に埋められて苦境に立たされている農家の人々は、さらに影響を受けることになります。
ここ数ヶ月のハルキウ、ザポリージャ、スームィでの戦闘激化により、同国では現在510万人以上が国内避難民となり、何千もの人々が家を追われています。 戦争によって教育、医療サービス、水へのアクセスなどの重要なサービスが破壊されましたが、破壊がさらに進んでいます。学校の被害、避難、トラウマ的な経験などは子どもたちの健やかな成長と教育に悪影響を及ぼします。
病院への攻撃は 2023 年に若干減少しましたが、前線に近い地域では依然として医療サービスへのアクセスが非常に困難であり、医療施設の半分未満しか稼働していません。
2022年は4人の援助従事者が亡くなりましたが、2023年には少なくとも6人が職務中に死亡、16人が負傷しました。9月10日にはスペインとカナダのボランティアがウクライナ東部で移動中、ミサイルが車両に当たって死亡しましました。8月にはチェルニーヒウ中心部の演劇劇場を弾道ミサイルが直撃しましました。ドローンの展示会での出来事です。 人道支援団体Right to Protectionの職員も7人の犠牲者の一人です。

世界の医療団は、一次医療サービスを提供する移動診療チームを通じて、キーウ、チェルニーヒウ、ザポリージャ、ドニプロ、ヴィーンヌィツャ、ハルキウへの人道的支援を継続しています。 8月中に世界の医療団の移動診療チームは3067件の基礎診療を提供しました。ザポリージャでは、新規の 3ヶ所を対象に最初の移動診療を行いました。世界の医療団はドニプロとドネツクで医師、助産師、心理士、看護師で構成される移動診療チームを展開しています。ドネツクでは依然として困難な状況が続いています。この地域ではインフラ(医療、物流、通信、水道、電気)が破壊されているため、医療サービスへのアクセスが低いままです。世界の医療団は923件の基礎診療を提供しました。


健康


ザポリージャ臨床精神医療病院は、クラスター爆弾による砲撃の後、生き残った病院のひとつです。患者も医療スタッフも奇跡的に生き延びました。世界の医療団はこの病院に、冬の間、発電機用の燃料を購入するための補助金を提供しました。ミサイル攻撃により、ウクライナのエネルギーシステムは崩壊寸前で、この病院も停電に見舞われており、常に発電機を使用していました。
「警報が鳴るたびに、スタッフ全員と患者はシェルターに避難します。患者を安全に避難所に案内し、良好な環境を提供するためには、施設内の電気が必要不可欠です」と地域臨床精神医療ケア施設の経理担当者、ハンナ・ドゥビアガは言います。「終日電気が使えず、事務処理さえ維持するのが困難な場合もありましましたが、燃料の供給によって施設を継続的に運営できるようになりました。私たちは支給された資金で燃料クーポンを購入し、それを全額使用しました。現在、資金は主に医薬品、食料、給与に使われ、残ったお金で軽油やガソリンを購入していますが、常に十分とは言えません。世界の医療団のプロジェクトは非常に効果的です。提供に感謝しています」
現在、病院には3台の大型発電機があり、各棟に電源が供給されています。万が一の停電や暖房の停止に備えて、病院は敷地内に野外調理場を設置し、薪ボイラー室の設備を整えています。


メンタルヘルス


マリーナは世界の医療団の移動診療チームの心理士です。毎日チェルニーヒウの遠隔地の村々を訪れています。毎月、彼女は国境地帯のシシキフカ村に行きます。この地域の人々はストレスと絶え間ない砲撃に苦しんでいます。劣悪な道路事情や経済的事情から、地元住民は質の高い医療サービスを受けることができません。世界の医療団の移動診療チームは、毎月数十キロの未舗装の道路を移動し、村の人々を支援しています。「医師、看護師、婦人科医、産科医、心理士を村に派遣しています」とマリーナは言います。村の人々は、最初は心理士を信用していませんでした。マリーナは毎回、啓発セッションを開き、自分の役割について伝えました。回を重ねるにつれ、人々との間に信頼関係が築かれ、彼女と話すようになりました。数ヶ月の間に、マリーナは何十回もの個人セッションやグループセッションを行い、人々にストレスへの対処法を教えました。「私たちは彼らが最初どのように私たちのところに来たのかを思い出しながら、今、彼らを診ています。改善が見られます」とマリーナは言います。

キーウ、チェルニーヒウ、ドニプロ、ハルキウ、ザポリージャ、ヴィーンヌィツャでは、心理士が医療活動とは別にグループおよび個別の相談や啓発セッションを実施しました。8月は移動診療を通じて 1683件のメンタルヘルス相談を提供しました。


寄付


主に身体障害者などのぜい弱な立場にある人々の生活条件を改善し、医療サービス、救急車、ケアへのアクセスを改善するために、世界の医療団は6月にハルキウ、ザポリージャ、キーウ、チェルニーヒウで福祉機器を配布しました。78 の医療施設と専門施設が適切な支援を受けました。一般的に、8月中、世界の医療団はドニプロペトロウシクで2件、ヴィーンヌィツャで5件、ドネツクで2件の提供を行いました。

研修


8月、世界の医療団はさまざまな対象者に、多数の研修を実施しました。心理士、教師、言語療法士への研修、ザポリージャ市と州の保健関係者向けの精神保健および心理社会的支援研修などです。 また、世界の医療団はドニプロとヴィーンヌィツャの医師とソーシャルワーカーを対象に、性と生殖に関する健康(SRH)とメンタルヘルスに関する2つの研修を実施しました。特に、世界の医療団は、地方の外来診療所の医師を対象に、SRHの分野で 2日間の研修を実施しました。 主なトピックは、家族計画、避妊、未成年の妊娠、乳がんの診断でした。
家族計画と母子のための質の高い医療はこれまで以上に重要になっており、そのため私たちのチームは医療サービスの質の向上と医師の育成への全面的な支援に取り組んでいます。


※1
ウクライナからの穀物輸出がロシアの侵攻によって途絶えたことで、それまでウクライナからの食料を輸入していた北アフリカや中東の国々が食料不足に直面。世界的に食料価格も高騰し、食料危機が発生しました。国連とトルコの仲介によって、2022年7月にウクライナ、ロシアが、黒海における穀物と肥料の安全な輸出航路の確保に合意しましたが、2023年7月にロシアが合意から離脱しました。

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