ロヒンギャ難民キャンプとホストコミュニティでは、慢性的な運動不足や偏った食生活、喫煙の習慣、脆弱な医療体制と健康情報の不足などから、高血圧や糖尿病などの非感染性疾患(NCDs)を患う人が多く、これらの予防や適切な管理が喫緊の課題となっています。世界の医療団は2021年3月に外務省日本NGO連携無償資金協力によってNCDs予防対策事業を開始。現在まで年度ごとに継続して実施しており、難民キャンプとホストコミュニティの両方で、保健ボランティアによる予防啓発と、連携医療機関の能力・体制強化を行っています。
7月に、世界の医療団のメディカル・コーディネーターで看護師の木田晶子が、コロナ禍を経て3年ぶりに難民キャンプに行きました。3月に開始したNCDs予防対策事業の現地モニタリングを通じてスタッフへの実地指導を行うためです。
7月はロヒンギャ難民キャンプとホストコミュニティで、それぞれ対象となる20歳以上の成人429人と648人、計1077人に健康教育を実施しました。また、同時にロヒンギャ難民キャンプの連携医療機関への医療資機材と医薬品の提供、NCD担当者による医療スタッフへのNCDsにかかる技術の実地指導や、研修を通じた能力向上を実施。さらに、ロヒンギャ難民自身から選ばれたボランティアを通じ、連携医療機関でNCDsの集団健康教育を2回実施し、18人が参加しました。
スタッフの能力育成研修では、研修後に試験を実施し、目標の8割の正答率に満たないときは、再試験を行い、知識の定着を図っています。
参加者からは、
「研修は、図や表を使用した非常にシンプルでわかりやすい言葉で解説され、実際に目の前で手順をデモンストレーションしてもらえました」
「NCDs についてこれまで知らなかった多くの情報を学び、すべての段階について明確に教えてもらいました。 すべてを簡単に理解できるようにしてくれたトレーナーに感謝します」
「たった 2 日間のトレーニング セッションでしたが、私は薬剤師として NCD について多くのことを学びました。その知識を職場、家族、そして自分自身の生活に応用できるようになります」
という声が聞かれました。
2017年8月25日に発生したミャンマー軍による大規模なロヒンギャ弾圧。多くの人々が難民キャンプに逃れてから6年がたとうとしています。日本でロヒンギャの人々への関心を高めるために、ジェンダーを切り口にオンラインイベントを企画しています。
それに向けて、木田は、難民キャンプの女性4人にインタビューを行いました。
あきらかになったのは、結婚を機に家族のなかで孤立し、就業を禁止されたり、早い出産を強要されたり、夫の暴力にさらされる女性の姿でした。
イベントでは、これらの女性の声を紹介し、世界の妊産婦と女性の命と健康を守るために活動しているNGOジョイセフの理事長をお招きし、性と生殖に関する健康への権利(SRHR)やジェンダーの課題と支援について議論を深める予定です。
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