7月10日から19日まで、ECOSOCハイレベル政治フォーラム(HLPF)がニューヨークで開催されています。今年のHLPFでは、各国政府代表が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの回復の加速と、あらゆるレベルにおける持続可能な開発のための2030アジェンダの完全実施」について議論します。39ヶ国が自発的国家レビューを発表することになっています。
他の多くのSDGsの目標と同様に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」にも後退が見られます。SDGsの目標3のターゲットのひとつは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成です。UHCとは、すべての人が、経済的な負担を強いられることなく、必要な質の高い保健サービスを受けられるようになることです。SDGsのモニタリング報告書にはこう記されています。「パンデミック(世界的大流行)により、必要不可欠な保健サービスに大きな支障が生じたため、過去20年間にわたる継続的な進歩はおそらく止まってしまいました」
世界の医療団は、保健サービスにアクセスできない社会から疎外された人々と直接活動することで、人々の健康に影響を与える社会的、経済的、政治的決定要因を証言します。そして、私たちはまた、保健分野の民営化がしばしば健康に悪影響を及ぼすことも証言します。
また、社会から疎外されたコミュニティの多くが、医療へのアクセスを拒絶されていることも証言します。これは、公式にUHCの達成を宣言した国々でも同様です。疎外されるグループはさまざまですが、多くの場合、貧困層や農村部のコミュニティが含まれています。
9月には、国連総会の傍らでUHCに関するハイレベル会合が開催されます。この会合では、2030年までに世界全体でUHCを達成することを各国が約束した、2019年以降の進捗状況を確認する予定です。
過去数年間のSDGsの達成における私たちの経験と挫折を踏まえ、私たちは各国首脳に対し、ハイレベル会合で大胆なステップに合意するよう呼びかけます。各国首脳は以下のことを行うべきです。
■国連の経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約に規定されているように、すべての人が到達可能な最高水準の身体的及び精神的健康を享受する権利、並びに健康的な生活や労働環境、必要な保健サービスへのアクセスを確保する国家の義務を再確認すること。国家は、民間医療部門を監督・規制し、医薬品への安価なアクセスを確保する義務を負うこと。
■プライマリ・ヘルスケアに関するアルマ・アタ宣言の3つの柱を再確認すること
・人々の生涯を通じて、ニーズに基づいた総合的な保健サービスを提供する。
・多部門にわたる政策と行動を通じて、より広範な健康の決定要因に取り組む。
・個人、家族、地域社会をエンパワーする。
■「誰一人取り残さない」ことを再確認する。
社会的に弱い立場の人々に十分なアクセスと特別な支援を提供し、差別から守る。
■「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」がUHCの不可欠な一部となるようにする。
■ 健康状態やサービスへのアクセスに関する詳細なデータの入手・利用がしやすくなるようにする。
■保健への公平なアクセスのための計画、実施、モニタリングに、影響を受けるコミュニティを含める。
「より公平な」保健システムを再構築し、「すべての人に健康を」という共通のビジョンをめざして努力することが、今、さらに重要になっています。