ウクライナでは、長引く紛争により人々の医療サービスへのアクセスが困難な事態が続いています。医薬品の供給が滞っているため、慢性疾患を抱えた人々などが必要な治療を受けることができません。ウクライナ全土で約1,450万人が医療支援を必要としていますが、そのうち3分の1の人々には支援が届いていない状況です。紛争終結の見通しはいまだ不透明ですが、その後を見越し、医療保健システムの復旧が不可欠です。
このような背景から、2023年3月より、世界の医療団は、ロシアに隣接し、紛争により甚大な被害を受けた北東部のスミー州、そして、治安は比較的安定しているものの、多くの国内避難民が滞在している西部のチェルニフツィ州を対象として医療施設のインフラ修復、資機材・医薬品の供給、医療従事者の研修を行う事業を開始しました。医療施設が本来の機能を回復し、医療従事者が必要な治療を提供できるための知識を獲得することで、医療サービスを整えることを目標としています。
各州の状況
スミー州
ロシアと国境を接しているため、紛争開始後にロシア軍が首都キーウに侵攻するための経路として攻撃があり、40ヶ所の医療機関が被害を受けました。チェルニフツィ州
ルーマニアとの国境沿いに位置し、人口89万7千人に対して7万7千人の国内避難民が滞在しています。©MdM Greece
スミー州の病院 外科の一部
©MdM Greece
調査対象病院の内部