2月6日4時17分、トルコ南東部を震源とするマグニチュード7.8の地震が発生。そしてその数時間後、マグニチュード7.5の地震がさらに同地域を襲いました。この2つの地震と度重なる余震は、トルコ南東部と隣国のシリア北西部に甚大な被害をもたらしました。トルコ政府はもっとも被害が大きかった10県に3ヶ月間の非常事態を宣言。この地震により影響を受けた人々の数は、トルコで910万人以上、シリアで880万人以上にのぼっています。地震発生から2ヶ月が経過し、依然として支援のニーズは膨大ですが、資源は非常に限られています。
*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。
被災の状況 人々の命をつなぐ医療は
トルコ
2月20日には新たな地震が発生、トルコの医師会はハタイ県には医療を提供できる公立病院はないことを発表しました。人々は医療につながることがままならない状況に陥っています。街中では倒壊した建物から出た粉塵が大量に堆積していて、呼吸器系の健康に影響を与える恐れがあります。また、被災地に残っている人々はテントで生活していますが、トイレやシャワーの数は限られているため衛生状態の悪化が懸念されています。下痢や疥癬などがすでに報告されており、感染症の対策が急務です。
シリア
シリア北西部(アレッポ西部、イドリブ北部)では多くの建物が倒壊、行政はほとんど機能していません。多くの店舗は営業を再開していますが、被災者が必要なものを購入するには現金の支援が必要です。医療施設はサービスを停止しており、最も近いアフリンの病院までは20キロ以上離れています。医療施設では、医薬品や衛生用品、手術用の消耗品など医療資機材やベッドやシーツに至るまで、あらゆる物品が不足しています。
また、イドリブ北部には、トルコで被災して生活が困難になったシリア難民が帰還しており、その数はおよそ4万2,000人ともいわれています。今後15万人を超えるという予測もあり、この地域における人道支援のニーズが高まっているとともに、医療をさらに圧迫する要因ともなっています。
今、現地ではなにが必要とされているのか
ニーズ・アセスメントでわかったこと(2月20日、世界の医療団発表)
世界の医療団は地震後にトルコ・ハタイ県で被災した77人(女性75%、男性25%)にインタビューを行い、ニーズ・アセスメントをまとめました。
全文はこちらから https://www.mdm.or.jp/news/25837/
● 回答者の35%が少なくとも家族の1人が死亡、45%が救助を待っている家族がいる
● すべての回答者が食欲の変化、96%が睡眠パターンの変化、93%が悪夢を訴えた
● 食料以外の物資の提供を受けた人はほとんどいなかった
世界の医療団の活動
世界の医療団は以前よりシリア難民支援を行っており、トルコ南部ハタイ県に拠点がありました。そこはまさに今回の地震の被災地域です。スタッフも家を失うなどの被害に遭いましたが、イズミルとイスタンブールからスタッフを派遣して直ちに緊急支援チームを編成。まずはがれきの下に残された人々の救助活動を行うとともに、1人が3日間生きるために必要なものを揃えたサバイバルキットを被災者に配布しました。
トルコ
「固定式」と「移動式」の2つのアプローチで活動しています。「固定式」では、13のコンテナを設置、医師、助産師、臨床心理士からなるチームがサービスを提供したり、薬局として使用したりしています。「移動式」では、医師、看護師、心理士、ケースワーカーで構成するチームが移動診療車による活動を行っています。移動診療車は支援が届いていない地域でテントごとに訪問、こころのケアや薬の提供など、ニーズに合わせた支援を行っています。最初の地震発生から度重なる余震を経験し、被災者のこころのケアのニーズは非常に高まっています。世界の医療団は、トラウマに対する心理的な応急処置にも積極的に取り組んでいます。シリア
シリア北西部アレッポ県アフリンの3ヶ所の診療所とアフリン近郊ジンディレスの診療所は、建物の一部が損傷しましたが、緊急の対応を行っています。また、アフリン病院からの要請に応じて整形外科医を1人派遣しました。医療のニーズが非常に高いことから、移動診療チームを立ち上げ、難民キャンプにいる人々や被災者に応急処置、健康チェック、薬の提供、心理的な応急処置を行っています。イドリブ県は被害が大きかった地域のひとつで、負傷者が多く、この地域の医療を圧迫しています。世界の医療団は5ヶ所の診療所で患者を受け入れていますが、4ヶ所は資金の見通しが立たず、まだ再開できていません。
世界の医療団スタッフが出会ったMehmet(66歳、男性)の証言の記録 今日、移動診療車はハタイ県の2つの村の学校を訪問しました。ある学校に到着すると、ひとりの男性が悲しげな眼で私たちを見ていました。彼に近づいてみると目が涙で濡れていたので、私はコーヒーをすすめました。私たちが医療やこころのケアを提供していることを話すと、彼は私が何者かを理解したようで、話してくれました。「私の息子はアンタキヤのがれきの下で死んだんだ。ドイツの大学を卒業して、祖国でエンジニアとして働きたいと戻ってきたばかりだった。何日も息子が死んだことが信じられなかった。眠れない。明け方に1時間だけ眠るんだ。目が覚めるとすぐにそのことを考えてしまう。もう生きていたくない。街と同じように、人々のこころも破壊されている。多くの人が子どもを救うことができなかった。」 |
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震災からの復興には長い時間がかかることは、日本に暮らす私たちがよく知っています。世界の医療団は、現地の医療システムの再構築をサポートするとともに、大切なものを一瞬のうちに失ってしまった被災者のこころに寄り添ったケアを続けていきます。皆さまのあたたかいご支援をいただけますようお願いいたします。 *世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。 ©MdM Türkiye |
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