ミャンマーは、4月から5月が一番暑い時期です。5月の初めは40度という暑さだったようですが、雨季が始り、少し気温が下がっていました。 私たちは5月25日零時20分発の深夜便でタイのバンコクを経由してヤンゴン国際空港に朝着きました。それから車に乗り換えて新首都ネピドーまで約300km走ります。午後4時頃にネピドー総合病院(1000床)に到着し、早速診察開始です。 今までと同じく唇裂や口蓋裂、熱傷瘢痕拘縮そして腫瘍などの患者さんたちが待っていました。ちょうど2週間前にオペレーションスマイルというグループがヤンゴンで68人の唇裂手術をしたので、患者の数は多くなかったものの、なかなか難しく重症患者の割合が多かったです。
今回形成外科医が3人なので2つの手術室に手術台が合計3台用意されていました。 手術第1日目の朝、手術室にマンダレー総合病院の形成外科部長が、2人の若い医師と待っていました。「2人の教育をよろしくお願いします」と、丁寧な御挨拶をして部長は帰って行きました。ネピドーからマンダレーまでは320kmもあるのに、わざわざ御挨拶に来られるとは、と感動しました。また、それだけ私たちの手術と教育に期待をかけておられるのかと、嬉しく思いました。ミャンマーの人口は日本の約半分ですが、子どもの数は多く、形成外科手術の必要性は高いのです。
メイ・ミー・ミョーという30歳の医師によると、現在ミャンマーの形成外科医は彼女たちレジデントを含めて10人以下なのだそうです(日本は約2000人)。ということで、彼らはこれからのミャンマーの形成外科を背負って立つ若き医師たちです。すべての手術にマンダレーの若い形成外科医かネピドーの歯科医が付き、熱心に学ぼうとしていましたので、こちらも教えがいがあります。メイ・ミー・ミョー先生は6月末から岡山の病院での研修が決まっており、日本語も熱心に覚えようとしていました。
今回は普通の唇裂や口蓋裂もありましたが、難しくて時間のかかる手術も多くありました。その中の、熱傷の患者さんを一人紹介します。 8歳女の子シュウェー・イー・ウィンちゃんは、11か月前に友達の持っていたたいまつの火が服に燃え移って大やけどをしました。そのため両方の腕が脇の下から肘の近くまでくっついてしまい、両腕を上げることができず服を着るのにも困ります。両腕を離す手術は5時間以上かかりました。術後4日目にガーゼ交換をすると、創部の経過は良好でした。ガーゼ交換の時は泣いてしまいましたが、終わるとニコニコと可愛いお嬢ちゃんです。これからは不自由なく暮らせるようになるでしょう。
患者さんたちは口腔外科病棟にある24人部屋の大きな病室に入院し、それぞれ家族が付き添っています。食事も病院から出ないので、家族が作ったり、買ってきたりして食べさせます。プライバシーはありませんし、男女混合病室ですが、誰も気にしているようにありません。術前からずっと一緒に入院しているので、みんなが家族か親戚のような感じになっていて、なんとなく和気あいあいと良い雰囲気です。
手術がすべて終わった翌日、回診の後にホールに患者さんが集められて、私たちのチームや現地スタッフも一緒に記念撮影を撮りました。 最後の日、口腔外科部長のキン・マウン先生から「また12月に待っています」、と握手を求められ、私たちは病院を後にしました。
皆様のご支援のおかげで、また今回も患者さんとその家族に笑顔をもたらすことができましたことは喜びに堪えません。心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
形成外科医 寺島左和子
(写真一番下の左)
スマイル作戦 ミャンマー
■活動地: ミャンマー ネピドー
■日程: 2014年5月25日~5月31日
■派遣ボランティア:
寺島左和子・森岡大地・与座聡(形成外科医)
岡田朋子(麻酔科医)
石原恵・上野早紀(看護師)
■活動病院: ネピドー総合病院
■診察と手術
診察 人数: 38人
手術 人数: 28人(男性14人 女性14人)
年齢区分(才): 0~2 (3)人、3~5 (4)人、6~10(7)人、11~20(5)人, 21~30(4)人, 31~40(1)人、41~50(2)人、51~60(0)人、60以上(2)人、不明(0)人
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