ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート10

~コミュニティワーカーによる家庭訪問~

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート10
レポート9の集会が行われた後、村の様子をよく把握していると思われる村落健康普及ボランティア(VHV)たちによって、3件の家庭訪問のスケジュールがパタパタと組まれました。目的は、健康集会に出てこない家庭を訪問しミニ家庭勉強会を実施することで、後日開催される健康集会への参加を勧めるためです。VHVのご自宅で村長さんやVHVらと昼食をとった後、島を走るためのバイクも準備が整っており、コミュニティワーカーは島を後にするまで大忙しとなりました。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート10
以下はうち2件の家庭訪問と別の村落での家庭訪問の様子です。

・5ヶ月の双子の母親と家族(写真:上)
天井からつるされた揺りかごの赤ちゃんは、コミュニティワーカーが全身を確認したところ問題はなさそうでした。ご家族の話によると、この赤ちゃんには双子の兄弟がいたのですが、4日前に命を落としたそうです。産まれた時から虚弱だったようで、病院にもかかりながら様々な症状と闘っていた様子を話してくれました。
この母親と双子の祖母に当たる女性は、午前中の健康教育集会にも参加していた方でした。生き残った揺りかごの赤ちゃんを健康に育てていくために集会に出てきてくれたのかもしれません。元気そうだとはいえ不安になって家庭訪問を希望したのだと思われました。
安心したいと思った時にひとの輪の中に入っていける、そして助けを求められる、そんなコミュニティが健康教育を通じて多くの地域に育っていくことを願います。

・片側の目と耳が赤く腫れていたという赤ちゃん
すやすやと眠っている赤ちゃんの全身を確認したところ、顔は腫れも赤みもなくこちらも問題はなさそうでした。片側だけ下にして眠る癖が付いていて、腫れているかのように見えたのかもしれないねという話におちつきました。
双子の家族と同様、話しを聞いてもらい大丈夫だと安心する、そんな家族の心境は万国共通で、こういった役割もコミュニティワーカーやVHVに期待されているのかもしれません。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート10
・5歳未満児の家族
写真(中・下)は別の日にムンラパモク郡のカダンという地域を訪れた時の家庭訪問の様子です。
若そうに見える母親でしたが、膝の上の赤ちゃん(写真:中)は4番目か5番目のこども。兄弟姉妹たちはコミュニティワーカーが手にするフリップチャートに興味深々。自分たちと同じ年頃のこどもが手を洗っている写真には特に反応していました(写真:下)。たとえうっすらとでも、子どもたちの記憶に残っていると、将来なぜ手洗いが必要なのかが理解できたときに自然な行動に結びついていくのかもしれません。こどもたちは最初から最後まで、母親と一緒に飽きることなく話をきき続けていました。

以上のコミュニティワーカーによる家庭訪問も健康集会とおなじように、地域のVHVや村長、ラオス女性組合員などと連携することによって意味が深まります。

世界の医療団が対象とする村は100を超え、合計170名近いVHVがいます。村落や地域によってコミュニティワーカーとの連携の形や教育普及の進捗は異なります。コミュニティワーカーはそんな多様性のなかで健康教育の種を蒔いています。

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