©Kazuo Koishi

紛争と貧困のさなかにいる人たちのために

―事務局長 米良より新年のご挨拶-

新年おめでとうございます。
昨年は世界の医療団の活動に深いご理解とご協力、ご支援を賜りまして、ありがとうございました。


視察する米良
ⒸKazuo Koishi
2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻により、それまで現地で2015年から世界の医療団が培ってきた医療体制が破壊され、多くの人々が戦火のなかに投げ出されることになりました。今なお戦争は続き、厳しい冬の寒さのなかで、現地の人々と共に命と健康を守るための懸命な取り組みが続いています。
先の見通せない状況は、5年目が過ぎたバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプでも同様です。なかなかキャンプ内に入ることができず、もどかしい状況が続いています。「早くミャンマーに帰りたい」という若者たちの心の支えは、私たちが彼らの存在を忘れず、寄り添っていることです。また、日本で報道されることがほとんどないラオスでは、山岳地帯に暮らす人々にいかに質の高い医療を届けるか、地道な取り組みが続いています。
日本国内では物価の高騰を受け、多くの人々が食費や医療費を削る生活を強いられています。池袋で実施している炊き出しと医療相談は、多くの方に利用していただきました。新型コロナウイルス感染症のワクチンも、希望者には追加接種できました。

私たちが必要とされているということは、裏を返せば社会の課題がまだそこに存在している、ということです。
一方で希望があるのは、私たちの活動にボランティアやご寄付など、多くの方々が医療につながれない人々の身を案じ、課題の解決のためにご支援とご協力を惜しまずにいてくださっていることです。ラオスでは現地職員が自ら資金を集める活動に奔走し、ラオス国内で多くの支援を得ることができました。

今年、広島で開催されるG7サミットをはじめ、世界的に国際保健について話し合われる機会が増えてきます。世界の医療団の活動現場での成功事例や、そこで直面する課題など、政策提言として届けていきます。また、同時に多くの方に知っていただけるよう日本のメディアでは取り上げられることの少ない問題についても、発信を続けていきます。
誰もが医療につながることができるよう、粘り強く、果敢に、そしてきめ細やかに、活動を続けてまいります。
引き続き、お力添えをどうぞよろしくお願いします。


世界の医療団 事務局長 米良彰子

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