終わりの見えない戦争が続いています。世界保健機関(WHO)によると、2022年2月24日から10月24日までに行われた医療に対する攻撃は、631件、死者100人、負傷者は129人にのぼるということです(※1)。最近では、10月23日にドネツク州の病院が攻撃を受け、建物の一部が損壊しました。人々の命を守るため、特に前線に近い地域の医療を確保することが重要です。
優先すべき分野は救急医療、診断処置、精神疾患の治療として、世界の医療団の移動診療チームが、チェルノフツィ、キーウ、ドニプロ、オデッサの各州で直接診療を提供しています。ミサイルとドローンによる攻撃を受けて混乱を伴いながらも、チームメンバーを増やすなど、活動を拡大させていく予定です。
医療の提供を止めないために―激戦地に近接するザポリージャでの活動―
10月10日、首都キーウをはじめ、ウクライナ全土でインフラを狙った大規模な空爆とミサイル攻撃が始まりました。それによってあらゆる場所で停電が発生。病院の場合、医療機器の稼働に支障があると人命に関わる可能性があります。集中治療室、手術室、ワクチンを保管する冷蔵庫などを含む医療施設・設備は常に稼働できる状態でなければいけません。世界の医療団は、激戦地にも近いザポリージャ州の医療施設に発電機を20台提供する準備を進めています。緊急時にも発電機を使うことで医療の提供を継続できるようにするためです。
世界の医療団の調査チームは医療施設のほか、州や市、保健当局との話し合いを重ね、ニーズの特定を行いました。その結果、州内の医療施設が継続的に稼働できるようにするための医療機器や消耗品の提供を行うことにしました。物品のニーズでは、発電機のほか、職員が避難時に使用する地下壕のベッドなども挙げられました。その他、これから寒い季節を迎えるにあたり、新型コロナウイルスの流行に備え、治療に必要な医薬品、消耗品などの提供の準備を進めています。ザポリージャは激戦地に近いだけでなく、実際に攻撃の被害にも遭っていることから、医薬品や物品の輸送には細心の注意が必要です。毎日、治安状況を確認し、安全を確保しながら柔軟に対応しています。
病院のニーズ調査の様子
また、この戦争の影響を受けた人々のなかで最も脆弱な立場にある人々を支援することを目的とした活動も始まりました。障害を持つ人々に補助器具を提供し、支援するプログラムです。このプログラムはザポリージャ州だけでなく、チェルノフツィ州やハルキウ州でも行われています。
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現在、全ネットワークで連携し、この人道危機に対応しています。 ご支援くださる皆さまとともに、ウクライナの人々の心身をケアし、支えます。 *世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。 |
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