第11回目となるバングラディッシュでのスマイル作戦、私にとって4回目の活動参加である。 何度来ても新鮮に感じることが多く、私の中に日本での常識がいかに染み付いているかよく実感できる。例えばライフライン。手術中にもかかわらず突然の停電、断水、シャワーを浴びようとしたら茶色い水が出てくることも。コンセントの形状も多種にわたる。その他にも思い通りにならないことが多いが、状況をあるがまま受け止めていくことでバングラディッシュに馴染んできている。
多くの方のご協力があり、今回は38名の手術を無事終えることができた。
今回、初めて1次診察の介助に入ることができ、そこでも新しい発見があった。私たちは形成外科手術が必要な患者に対して手術を行い、さらに現場医療の育成を目的としている。しかし知識不足からか、明らかに他科、例えば骨や内蔵に関係のある手術を希望する患者も診察にきてしまう。1次診察で、ここでは手術適応ではないことを日本人医師からネパール人研修医に通訳してもらい帰っていただくことは、2次診察で5日間の手術予定がよりスムーズに割り振りするための重要な役割を担っている。初日の診察を1次2次と分けたのも私が参加し始めた頃なので、メンバーの経験からよりよい方法を模索しており、ミッション自体もその国に合わせて成長している。
今回手術にならなかった患者の中で印象に残ったのは、生後10日と14日の口唇裂新生児が診察に来たこと。もちろん手術適応ではあるが、手術をするには早すぎることを説明し、次回予定している11月のミッションで手術可能であることを伝えた。生まれてすぐ誰かから我々のミッションを聞き駆けつけてくれたことをうれしく思うと共に、人口密度世界一のダッカではこうして手術が必要な子が日々生まれていると思うと、現場医療の育成とミッションを継続する必要性を痛感する。
また診察では見覚えのある患者も多い。なぜならば広範囲にやけどを負ったことで、何度かに分けて皮膚を移植するなど、複数回の手術を必要とするためである。彼らが信頼して我々のミッションに戻ってきてくれるのは、手術のできばえが明らかに外観上で判断できる、日本人形成外科医の高度な技術によるもの。生死に関わる病気ではないがゆえ、後回しにされやすいが、術前術後の違いは患者と家族、そして私たちも笑顔にしてくれる。
最後に、長期にわたってミッションを続けられるのも支援してくださる方々、手術に必要な物品を無償で提供してくださる企業、さらに日本社会では取りにくい9日間の長期休みを取れる自分の環境に感謝いたします。
定宗純子(看護師)
スマイル作戦 バングラデシュ
■活動地: バングラデシュ ダッカ市郊外
■日程: 2014年2月13日~2月21日
■派遣ボランティア:
与座聡、山田信幸、江口智明、(形成外科医)
稲垣安沙、定宗純子、辻ノ内幸恵(看護師)
ナディア・スマイル、フランソワ・ゴシア(麻酔科医)
■活動病院: ゴノシャスタヤ・ケンドラ大学病院
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