東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート7

大震災からまる3年を迎える2014年も「忘れない、福島のこころのケア続けるプロジェクト」(*)と名付け、世界の医療団は支援を継続しています。今回は2月に行なわれた福島県川内村での世界の医療団の医療支援レポートをお届けいたします。

東日本大震災:福島そうそう現地医療活動レポート7
福島県川内村は2012年4月の警戒区域解除に伴い、住民の帰還が始まりました。行政機能は戻ったものの、医療、商業施設、高校などは原発事故の影響で現在も帰還困難地域となっている隣接の富岡町・大熊町に多く依存していたため、生活インフラが十分整わず、村に戻った住民は震災前の4割程度にとどまっています。従って家族のうち高齢者だけが帰村することが多く、高齢者が孤独な状況におかれた結果、認知症を発症するケースが目立っています。世界の医療団は精神科医と精神保健福祉士を村へ派遣し、認知症予防や認知症患者を抱える家族への支援を継続しています。

また村への助言活動を行い、村民の帰還を促すような魅力ある村づくりのコンセプト作りも支援しています。昨年、村の行政や住民・支援者による「川内村イキイキ高齢者なり隊ふやし隊」が結成され、コンセプトに沿ったさまざまな取組みが行なわれています。世界の医療団もこの支援者ネットワークに参加し、活動を行っております。

2月7日午前、川内村の郡山仮設住宅内にある集会所で「川内村イキイキ高齢者なり隊ふやし隊」の構成メンバーによる合同会議が開催され、様々な取り組みの振り返りと今後の課題が議論されました。会議では、高齢者のなりたい姿像がよりアクションに繋がる表現にすべきという議論や、またせっかく郡山仮設で出来上がったコミニテーが川内村に戻った後でも継続するにはどうしたら良いかなど、活発な議論がなされました。

同日の午後は仮設住宅の一室を借り、認知症又はその疑いのある方・その家族への相談会が開催され、世界の医療団の精神科医の森川すいめいが活動に当たりました。問診を通じ、症状や課題を把握し、服薬忘れを予防する方法の助言や、処方のための村の診療所医師に向けた紹介状(医療情報提供書)の作成、同伴されたご家族への助言などを行ない、認知症又はその前兆のある方々を適切な医療に繋げる活動を行ないました。

今後も、世界の医療団は川内村の支援者ネットワークの一員として、この活動を継続して行く予定です。

玉手 幸一 東日本大震災プロジェクト コーディネーター

(*)ジャパン・プラットフォーム様の「共に生きる」ファンドによりこの事業を実施しております。

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