©Katsuya Shimbata

ロヒンギャ支援から5年

ロヒンギャの支援をはじめて5年が経つ。振り返れば、ロヒンギャに教えられてきたことのほうが多かったように思う。難民というと「かわいそうな人」というイメージがもたれることが多いが、私がロヒンギャに抱くイメージはむしろ「強さ」である。キャンプという過酷な環境にありながらも、人への気遣いを忘れない彼らの優しさや謙虚さ、愛嬌やユーモア、学ぶ意欲の高さや意志の強さ、知れば知るほどロヒンギャは魅力的な人々である。

この5年という歳月を彼らはどのように捉えているのだろうか。一つだけはっきり言えるのは、帰還に関しては何もひとつ進展がないということである。そして、帰還の見通しはミャンマーのクーデターによりいっそう暗雲が立ち込めている。それでも私が感じるのは、彼らが帰還への望みを捨てていないということだ。ミャンマーで国籍が付与され、家族と安全・安心に暮らすこと、人として当たり前の生活を送ること。これこそがロヒンギャにとっての価値であり、「強さ」の根源である。私たちは、彼らが望みを抱き続けることができるように、その価値に向かって一歩踏み出すことができるように、これからも支援し続けていかねばならない。


ロヒンギャ難民コミュニティ支援プロジェクト メディカル・コーディネーター/看護師
木田晶子



世界の医療団の活動は、こちらをご覧ください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新記事

参加する

世界の医療団は皆様からの寄付・
ボランティアに支えられています。