地域全体の医療を強化し、子どもの命を守る
ラオスは5歳未満児死亡率が出生数1,000人あたり44.1人(UNICEF、2020年)と、ほかの東南アジア諸国と比較しても高い国。農村部では、小児に特化したトレーニングを受けた医療従事者が少ないために、子どもにも大人と同様の医療を行うなど、小児医療を取り巻く課題がありました。
*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。
このような背景から、世界の医療団は2012年から南部チャンパサック県で、そして2017年からは国内でも5歳未満児死亡率が高い山岳地帯のフアパン県ソン郡、フアムアン郡で、診療技術の向上のための研修や、正しい知識を普及する活動などを行ってきました。
そして、活動は小児医療だけでなく、一般医療体制を強化する取組みにも拡がり、地域の小病院の修繕、医療従事者の研修を行い、医療体制の強化を目指しました。また、村の人々が自ら受診を促す啓発活動を行うなど、地域に根差した人々の健康を守る仕組み作りをしました。
2022年7月~ これまでの経験を活かし、活動地域を拡大!
2022年7月からは、同県サムヌア郡、クアン郡で、母子保健を中心に、地域全体の医療を築いていくためのプロジェクトを実施します。具体的には以下を計画しています。
2022年7月~
妊産婦や新生児のケアを充実させ、ワクチン接種を進めていくことを基本に、妊娠から出産の健康、新生児および小児保健を普及させる2023年1月~
地域の人々の健康に関する意識を高めるため、健康啓発ボランティアを育成。健康啓発活動を通して病気の予防や受診の大切さなどを伝える村では車やバイクが必要なときは持っている人にガソリン代を負担して借りる。ぎりぎりの生活をしている人にとって病院までのガソリン代は大きな出費。写真は活動で使う車両
的確な診断と高度医療施設への紹介によって守ることができた命
私たちの活動によって救うことができた、ひとつの幼い命の例をご紹介します。
世界の医療団が事業地のフアムアン郡のある小病院を訪れていたとき、村の女性が生後5ヶ月の男の子の赤ちゃんを抱えて駆け込んできました。赤ちゃんは元気がなく、高熱と嘔吐、脱水症状がありました。小病院スタッフは当初赤ちゃんを見て肺炎を疑いましたが、「患者さんの病歴を聞き、診断に必要な検査を適切に行う」というIMNCI*トレーニングで学んだステップを実践。肺炎ではないという結論を導くことができました。 ラオスプロジェクト コーディネーター 小川亜紀 |
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*IMNCI(Integrated Management of Newborn and Childhood Illness: 新生児および小児疾病統合管理)とは?
5歳未満児の死亡率が高い国では、肺炎や下痢による脱水症状、栄養不良などがよくみられます。症状にはさまざまな要因が隠れている場合がありますが、このようなときにIMNCIが役立ちます。IMNCIとは、十分なトレーニングを受けていない医療スタッフであっても、チャートによって的確な診断ができるようにする仕組みです。これにより、経過観察をすべきか、現在可能な処置は何か、高度医療施設に搬送が必要か、などが判断できるのです。
< ご支援はこちらから >
このような経験を積み重ね、現地で働く人たちが自らの判断と行動で 地域医療体制を築いていくまで、世界の医療団はともに活動を続けていきます。 世界の医療団にぜひ力をお貸しください。 *世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。 ©Kazuo Koishi |
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