2億3818万人*¹と世界5位の人口を誇るパキスタン。人口の約25%が9歳から19歳という若い世代が多い国です。パキスタンの15歳から19歳の女性のおよそ12人に1人が妊娠・出産を経験しています。うち約4割が医療者の立ち合いのない出産であり、出血や感染症などで命を落とす事例が後を絶たず、妊産婦死亡率は日本の28倍に達しています。*²
パキスタンでは、夫や義母の許可がなければ一人で医療機関を受診することさえできない女性が多くいます。また、女性が身体的・精神的・社会的な健康を維持し、子どもを産むかどうか、いつ産むか、どれくらいの間隔で産むかなどを自ら選択し、決定する権利が十分に保障されているとは言い難い現状があります。リスクの高い出産、間隔を置かずに妊娠・出産を繰り返すことによる母体への負担、女性の健康が軽視されています。
1994年にカイロの国連会議で採択された「性と生殖に関する健康・権利」を尊重するために、妊娠・出産、避妊、女性の健康に関する情報等を得ること、誰からも強要されることなく、暴力を受けることなく、自身の健康について選択できること、本人の意思が尊重され、またその手段を得ることができるようにならなければなりません。
*¹米国中央情報局、2021年7月
*²妊産婦死亡率(出生10万人あたりの女性の死亡数)、パキスタン140人、日本5人、UNICEF、2017年
*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。
性と生殖に関する健康の啓発教育
世界の医療団は、アフガニスタンと国境を接しているパキスタン北西部のカイバル・パクトゥンクワ州で、現地の保健局と協働し、若年層向けに性と生殖に関する啓発教育を行っています。単なる産児制限ではなく「生まれてくる子どもはすべて望まれた子どもである」という基本理念に沿った、家族計画を伝えています。2018年からは4つの救急産科診療施設にて、女性が自ら選択する、その選択が尊重され健康に生きるためのサポートを行っています。
世界の医療団の活動実績(2020年)
新型コロナウイルス感染拡大を乗り越えて
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、性と生殖に関する健康の啓発活動も一時中断を余儀なくされました。急遽、パンフレットの配布やポスター掲示、メディアでの発信などを通じ感染症の予防啓発活動を実施しました。感染症対応の医療者育成も急がれたことから、医療者89人に研修を行いました。医療者用防護具を1700セット提供し、感染拡大防止に努めました。現在6つの家族計画センターにて、性と生殖に関する健康の教育を再開しています。
パキスタンの女性が自身の健康について選択すること、 *世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。 |
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