各国首脳および各国代表団のみなさまへ
気候危機は、健康への危機でもあります。
気候危機は、健康を決定づける大きな要因です。
世界の死亡要因の23%は環境に関連しています。
*WHO ”Preventing disease through healthy environments”
騒音や大気汚染と同様、気候変動の影響は、人間の健康に大きな影響を与えています。
気候変動は、食物・水・生物を媒介とした病気の増加要因のひとつです。
異常気象がもたらすもの
今年だけでも、気候危機に関連した健康被害が世界各地で発生しています。南スーダンの大洪水やカナダの熱波のようなこれまでに類をみない気象現象が繰り返し起きています。自然災害が影響の大きさと深刻さを示している今、私たちはすぐ行動を起こす必要があります。
気候危機の影響を大きく受けているのが食料です。栄養失調、飢餓、食料不安が人々の健康を脅かしています。気候変動による飢饉を防ぐために、早急に行動を起こさなければなりません。
社会的危機としての気候危機
気候危機は人道危機でもあります。気候変動は地球上すべての人の生活に影響を与えますが、中でも社会的に疎外されている人々や貧困に苦しむ地域がなおのこと大きな影響を受けています。気候危機への適応を考える時、最も影響を受けやすい、弱い立場にある人々に焦点を当てる必要があるのです。最も気候変動の影響を受け苦しんでいるのが、気候危機の要因でもある温室効果ガスをほとんど出さない低所得国なのです。
気候危機は、人類が直面している唯一最大の健康上の脅威です。
すべての締約国がすべての人、特に最も弱い立場にある人を保護すること、その責任を果たすことを私たちは強く求めます。パリ協定の約束を尊重し、世界の気温上昇を1.5℃に抑えるために、各国が気候変動への取り組みにより積極的に取り組むことを要請します。
医療システムによる緩和策
気候危機は、生活のあらゆる領域に関係しています。保健医療システムもまた、気候危機を緩和し、避けられない変化に適応するために行動し貢献する必要があります。保健医療システムは、気候危機の影響を受けるだけでなく、気候危機との戦いにも貢献することが可能です。締約国のNDC(国が決定する温室効果削減目標)とその取り組みには、保健医療政策も組み込まれなければなりません。
私たちはすべての締約国に対し、気候変動に強く低炭素で持続可能な保健システムを共に構築することを呼びかけます。
すべての人の健康が危機に瀕しています
気候危機を緩和し、環境を保護するための効果的な行動、特に温室効果ガスの排出量削減に私たちは積極的に取り組まなければなりません。
気候変動が人間の健康に及ぼす負の影響に対し、適応策を喫緊に講じると同時に気候変動との戦いにもっともっと積極的に取り組まなければなりません。
現在の気候危機に対する行動計画や公約は、この原則を十分に反映していません。すべての環境活動に公衆衛生の視点を取り入れ、持続性のある保健医療システムの構築を積極的に推進しなければなりません。緩和策と適応策を適宜更新してこそ、現在進行中の世界的な健康危機に適応することができるのです。そして、裕福な国は自らのエコロジカル・フットプリントを減らすだけでなく、その資源を低所得国と共有すべきであると私たちは考えます。
世界の医療団は、気候危機によって引き起こされる健康被害にも向き合い活動しています。COP26の場でその経験を共有し、気候変動が健康に与える影響に警鐘を鳴らし、ともに戦うことを呼びかけています。
– 普遍的な健康への権利を守り、進行中の健康危機をくい止めるために –
今すぐ行動を起こす必要があります。
世界の医療団