他国と同様、バングラデシュでも非感染性疾患が課題となっています。国内の死因の41%が循環器系疾患、慢性呼吸器疾患、がん、糖尿病などによるものです。
日本NGO連携無償資金協力によって、世界の医療団はロヒンギャ難民とキャンプ周辺のホストコミュニティの人々を対象に
1.罹患リスクが高い、または罹患している40歳以上の中高年と家族支援者への啓発
2.難民キャンプにおける支援者どうしが情報交換し、助言・支援を受ける家族会の形成、会合の実施
3.ホストコミュニティの診療所のスタッフへの非感染性疾患のスクリーニングや患者への指導や教育についての能力向上研修、スクリーニングのための資機材供与と維持・管理のための研修、非感染性疾患を有した患者へのフォローアップ体制の強化などにおける支援
を行っています。
こうした活動には、難民やホストコミュニティ住民のボランティアが携わり、共助を促進させる仕組みを生み出します。難民キャンプ、ホストコミュニティの双方でボランティアを育成し、コミュニティヘルスボランティアと呼ばれる彼らが40歳以上の人々や家族に啓発を行っています。
また、非感染性疾患の診断をしやすくなるよう、ホストコミュニティの診療所に血圧計や血糖測定器などを提供しました。
難民キャンプでは今後、家族支援者会を結成し、会合などを開催していく予定です。
バングラデシュのような途上国では感染症のリスク・脅威もまだまだ大きいのですが、その間にも非感染性疾患は静かに進行・拡大しています。日本も同様、世界的に対応が必要な課題ですが、特に途上国においては資源・人材が限られています。
誰もが健康を維持・増進し、必要な保健医療サービスを受ける権利を享受できるよう、微力ながら貢献していきます。
ロヒンギャ難民コミュニティ支援プロジェクト・コーディネーター
中嶋 秀昭