今回は日本から形成外科医2名、看護師1名 コーディネーター1名、フランスから麻酔医2名の合計6名が参加しました。昨年までカンボジアに一緒に行っていたメンバーです。
日本の医療チームは、6月1日の夜にヤンゴンに着き、フランスからは翌2日の早朝に到着しました。全員揃ったところで、2台の車に手術器具や手術に必要な薬品、材料を積み込み、ミャンマーの新しい首都ネピドーに向かいました。ネピドーはヤンゴンから350km北にあり、高速道路を走って車で約5時間かかります。
午後3時にネピドー総合病院に到着しました。日曜日ですが、大勢スタッフたちが来ています。挨拶後すぐに診察を開始しました。口唇裂、口蓋裂、熱傷後瘢痕拘縮などの患者さんが40名来院していました。この患者さんたちは母子保健センターでセレクトされ、母子保健を支援するボランティアに付き添われて来ていました。ボランティア達は黄色のブラウスと黄土色のロンジー(長い巻きスカート)を着ています。
形成外科医が診察し、手術すると決めるとすぐに麻酔医は麻酔が可能か診察します。OKが出ると、ネピドー病院のDr.キンマウンがスケジュール表に記入していき、40名の診察はたった1時間半で終了してしまいました。診察が終了した時点で1日目の手術予定表がプリントされて配られ、その能率の良さに驚かされました。
月曜日から金曜日まで5日間、毎日手術です。
ネピドーは6年前に出来たばかりの首都ですからネピドー総合病院も新しく、この国ではもっとも設備の整った病院と思われます。2年前に建ったという新しいほうの手術棟に、ミッションのために手術室が2部屋用意されました。
口唇・口蓋裂が22件、熱傷および熱傷後瘢痕拘縮が4件、外傷後の瘢痕拘縮4件、合計30件手術しました。
手術にはミャンマーの若い医師か歯科医師が1人か2人、必ず付いたため、彼らの能力を確かめつつ、トレーニングを行いました。ネピドーだけでなくマンダレー市からも勉強に来ていました。また中堅と言う感じの形成外科医が2名見学に来ていました。ミャンマーの医師たちは初めから非常に友好的であり、学ぼうという姿勢が強く感じられました。
毎日、朝と手術終了後の2回、病棟回診をしました。 6月8日最後の日の朝、回診が終了した時点で手術を受けた患者が集められ、医師や看護師も一緒に記念撮影が行われました。その後、すべての手術の経過がいいことを祈りつつ私達は病院を後にしました。
最後に、皆様の暖かいご支援のおかげで無事30名の手術が出来たことを感謝いたします。
寺島左和子(形成外科医)
※写真1:「僕たちこれから手術です。」患者取り違え防止のために名前や年齢、病名など書いた紙が術衣に留められています。
※写真2:超音波でモニターしながら行う、安全な神経ブロックを学ぶ現地麻酔医達。
※写真3:現地の医師に教えながら口蓋裂の手術をしているところです。
※写真4:最後の回診後、患者さん全員が集められて一緒に記念撮影しました。皆さまのご支援のおかげでこの患者さん達が手術を受けることができました。ありがとうございました。
※写真5:ミャンマーではアウンサンスーチさんだけでなく、髪に花を飾っている女性が時々見られます。 最後の日、病棟へ回診に行くと、多くの女性が香りの良い黄色い花を髪に挿していました。スタッフも、付き添いの母親たちも髪に挿しています。とても華やかで可愛いです。これはパダウと言う花で、ミャンマーではこの花が咲いた日、女性は髪に飾る習慣があるそうです。