第9回スマイル作戦バングラデシュ活動報告

バングラデシュにおける形成外科手術プログラム、スマイル作戦が始まって、今回で早くも9回目のミッションとなる。


今回は世界の医療団日本より形成外科医3名、看護師2名 世界の医療団フランスより麻酔科医3名、世界の医療団イタリアより形成外科医1名、計9名でのミッションである。このバングラディッシュミッションは当初から日本より形成外科医、看護師、コーディネーター、フランスより麻酔科医の日仏混成チームで構成されている。

第9回スマイル作戦バングラデシュ活動報告今回は、ミッションのディレクター兼、ネゴシエイター兼、セクレタリーである、コーディネーター役のメンバーが参加できず、なおかつ、コーディネーター役を兼ねることとなる看護師2名が、ミッション参加2回目という、やや緊張感のある状況のなかでの出発となった。

関西国際空港出発の私は、台北を経由して、香港で羽田空港出発の4人と合流して、ダッカに到着。ダッカ市内の交通渋滞を通過し、滞在先であるGK大学病院のドミトリーに到着したのは深夜であった。

翌日、早速患者さんの診察に取りかかった。通常は、活動についての広告を、複数のメディアに流していたのであるが、来られる患者さんが200名にもなることが多く、せっかく遠方から来られてもスケジュール上、期待に応えることができず、つらい思いをすることが多々あったので、今回は1紙のみの広告となった。そのおかげで、半数程度の患者さんの受診であった。また、形成外科の守備範囲外の患者さんも多く来られるため、2診制として、一人は形成外科手術の適応、不適応の振り分けをし、次に細かな診察の上、手術予定および、手術方法、麻酔方法などの詳細な決定を行った。

第9回スマイル作戦バングラデシュ活動報告
やはり8回もの経験に基づく反省と改善のおかげで、診察の流れも、効率的かつきめ細かな対応ができるようになっている。コーディネーション兼任することとなった看護師も、事前の申し送りとシミュレーション、そして本人の適応力のおかげで、十分なパフォーマンスを発揮していた。

順調に手術予定を組み、思ったよりスムーズに初日を終えられると思ったところ、いきなりの試練が待っていた。PCに入力した手術予定表を、日本から持ち込んだレーザープリンターにて、プリントアウトしようとしたところ、プリンターから白煙が吹き上がった。現地の電源につながった分配器を、変圧器と勘違いした私がそのまま、分配機につないでしまったのだ。哀れにも、1枚も書類をプリントアウトすることなく、レーザープリンターから白煙をふかしてしまった。テンションは下がりまくるものの、翌日からの手術にむけてはそうも言っていられない。仕事を増やしてしまった看護師と、1回も活躍させることができなかったレーザープリンターに合掌しながら1日目を終えた。

第9回スマイル作戦バングラデシュ活動報告
2日目から5日目までは、毎日手術。使用できる2室の手術室をフル活用しながら、朝から夜遅くまで手術であった。

手術を行う中、毎回、気づきがあり、また、いろいろな物品が不足するなかで、創意工夫をしながら手術をすることは確実に自分を成長させてくれているような気がする。更にありがたいことに、この活動を初めて以来の師のアドバイスを直接受けることもできる。ミッションはボランティアの場であるだけでなく、自分の修行の場にもなっている。 また、2名の看護師は、そのすばらしい適応力を発揮し、ミッション参加2回目とは思えないほど、予想以上にスムーズに仕事をこなしてくれた。

毎晩、手術が終わると病棟回診に向かう。この時、いつも感じることは、バングラディッシュ人の家族の距離の近さだ。決してきれいとはいえないベッドに、家族全員が集まり、手術を受けた子どもをかいがいしく世話する様子にいつも気持ちを温められる。

第9回スマイル作戦バングラデシュ活動報告
最終日、医師は手術を行った患者さん全員を診察する。その状態によって、現地のスタッフに今後の処置について申し送りを行う。その間、看護師は手分けをして次のミッションにスムーズに入れる様に物品、手術道具の片付けをする。
昼過ぎに、ドミトリーを出発し、ダッカのひどい交通渋滞を通過し、帰国の途につくのであるが、帰りはさらに、カトマンズを経由して香港に向かうこととなる。早朝に香港につき、羽田に向かうスタッフを見送り、2時間半睡魔と戦いながら、家族の土産などを買卯などして過ごし、関空へ向かった。

医師 山田信幸

■活動地: バングラデシュ ダッカ市郊外

■日程: 2013年2月14日〜2月22日

■派遣ボランティア:

与座聡、山田信幸、江口智明(形成外科医)

稲垣安沙、定宗純子(看護師)

ナディア・スマイル、フランソワ・ゴシア、ジャンクロード・アダン(麻酔科医)

ダニエル・カタルド(形成外科医)

■活動病院: ゴノシャスタヤ・ケンドラ大学病院

■診察件数 69件

■手術件数 45件

1枚目の写真は出発前、羽田空港での左から、定宗純子看護師、稲垣安沙看護師、与座聡医師、江口智明医師 

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