米国務省のイエメン・アンサール・アッラー(フーシ派)のテロ組織指定を憂慮する


1月10日、米国務省は、イエメンのイスラム教シーア派武装組織「フーシ派」として知られる「アンサール・アッラー」をテロ組織に指定する方針を表明しました。この方針が、イエメンの人口の約70%を占める2000万人を更なる危機的状況へと追いやるのではないか、私たち世界の医療団は非常に懸念しています。この方針が実現すれば、紛争と紛争による人道危機の影響を受ける何百万人もの市民が、直接大きな影響を受けることになるでしょう。

世界の医療団は、米国政府に対し本措置の撤回を求めています。就任式を終えたばかりのバイデン大統領がこの決定を速やかに覆すことを期待します。米国務省は、人道支援団体が本質的な人道活動を継続できるように、そして制裁や訴追が実施されることのないよう人道支援団体への免除措置を喫緊に実施すべきです。

連合軍による封鎖によって、医薬品、医療機器だけでなく燃料や食料の輸送、人道組織からの資金援助などが制限されています。このような人道支援が制限されているなか、数百万もの市民へ更なる影響が及ぶことは避けなくてはなりません。

今回の措置決定が人道支援活動に与える影響も計り知れないものとなるでしょう。輸送や輸入に関わる企業や銀行にも、管理面、財政面、法的な制約が課され、世界の医療団をはじめとする人道支援団体の活動にも支障が出てきます。

長引く紛争によって、既に壊滅的な状況下にあるイエメンの経済は更に打撃を受け、市民生活を直撃し、彼らの健康にも影響が及ぶ危険性があります。

世界の医療団フランス理事長フィリップ・ド・ボトン
「戦争と人道資金の不足から、イエメン国内の医療機関の半数は機能していない。今回のテロ組織指定という措置によって、残る医療機関がこれ以上の物資供給へと支障が出る事態に直面すれば、パンデミックへの対応に追われるイエメンの医療システムは完全に崩壊する可能性もある。イエメンの市民がこの政治的決定の最終的な犠牲者になってしまうことを喰い止めなければ」


人道支援を続けるためには、これまで以上に人道団体が政策による制限を受けることなく、活動できる措置が必要です。イエメンの人々のために。

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