ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート1

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート1
医療施設スタッフのスキル・知識の向上は、世界の医療団 日本の小児医療プロジェクトのコア活動のひとつ。活動地域の村々で、5歳未満児の健診や診療のために医療施設を利用するよう促すことも大事な活動だが、熱を出した子供を連れて行ったらヘルスセンターには誰もいない、もしくは何もしてもらえない、という状況では来た甲斐もない。だからこそ、住民のニーズに応えることができる地域医療体制を構築していくことが重要と考えている。

現在スクマ郡には4か所にヘルスセンターがあり、各施設に保健省が雇用した保健医療スタッフが配置されている。スクマ郡病院にも医師、看護師などのスタッフがおり、ヘルスセンターとの連携の在り方が課題のひとつ。これらのスタッフと協力しながら、日々の監修に加え、必要な研修を提供する。そこで問題になるのが、彼らのレベルである。

同じ看護師でも各スタッフの医療知識・技術レベルには差があり、小児医療についてはたとえ研修を受けたスタッフがいても実践に活かされるに至っていないことはよくあること。研修を受けていなければ基礎知識の導入から始める必要がある。一方で、医師がいないヘルスセンターで求められるレベルは、ある程度の治療行為・処方を看護師が行うことである。

そんなニーズの凸凹と、医療従事者の希望や意見、そして住民に必要な医療を考慮にいれながら研修内容を決定していくためのリサーチが、駐在看護師の最初の仕事。今回のレポートは、スクマ郡病院でのリサーチの一場面。

ラオス小児医療プロジェクト:現地活動レポート1

鈴木彩乃看護師からのレポート


小児診断技術向上のためのトレーニングを2013年から始めるに当たって、病院とヘルスセンターのスタッフにどの程度の知識があり、どんな症状の患者が来るのかを把握するため診察状況を見学する。12月5日、スクマ郡病院の診察室にて見学。患者の多くが発熱を理由に来院する中、三才の男の子が頭と足にできものができて10日ほど経つが治らないということで来院。そのできものは私が村に行くとよく目にする症状と似ていた。村の人たちはこのできものが子供にできてヘルスセンターに連れていくが、ヘルスセンターには薬がなくて治すことができないと嘆いていた。しかし、病院では医師がきちんと診断し薬を処方できる。ヘルスセンターのスタッフをきちんとトレーニングし、薬をヘルスセンターレベルにも置くことでこの症状を持っている多くの村の子供たちにも治療を行うことができるのでは、と考えさせられる事例であった。このような情報を集めて、また病院のスタッフとも相談し、トレーニング内容を充実したものにしていけたらと思う。

この後12月7日には、世界の医療団の現地スタッフ、メディカル・オフィサー(MO)とコミュニティ・ワーカー(CW)への小児診療基礎知識導入トレーニングを鈴木看護師が行った。MOは日々ヘルスセンターの監修にあたっており、CWは村々での啓発教育活動に従事している。


写真1 病院での聞き取り。診察後、院内の薬局で処方を受ける母親。中央が診察を受けた子供、女性の左隣は女性の弟

写真2 メディカル・オフィサーとコミュニティ・ワーカーとのトレーニング風景。鈴木看護師の左隣は、医療・通訳アシスタント。

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