©Kazuo Koishi

COVID-19から人々の命を守るために:

携帯電話およびインターネット通信制限を解除してください

- ミャンマー、バングラデシュで活動する26団体が声明を発表

*本プレスリリースは世界の医療団日本が”COVID-19: Access to full mobile data and telecommunications in Myanmar and Bangladesh is essential to save lives, say 26 major aid groups” を意訳したものです。
原文はこちらから

26の人道支援団体は、ミャンマー、バングラデシュの両政府に対し、バングラデシュのコックスバザール、ミャンマーのラカイン州、チン州における携帯電話、インターネット通信[1](ロヒンギャ難民のSIMカード使用規制の解除を含める)、および両国の避難民、地域住民らがCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染予防法を含めた重要な情報にアクセスできるよう、喫緊の通信の制限解除を要請しました。
COVID-19による甚大な影響が予想される地域やコミュニティにおいて、人々の命を守るために通信サービスが欠かせません。

コックスバザールの難民キャンプでは、大多数の女性や子ども、障害者、高齢者など脆弱な層を含めたおよそ100万人のロヒンギャ難民が過密環境のなか生活する現状にあり、ソーシャル・ディスタンスや隔離などの対策を講じることも難しい状況にあります。 
政府の報告によると、ラカイン州では2012年以降からの長期避難民128,000人に加え、今も続く武力衝突によって住処を追われた64,658人が避難民となっています。

ミャンマーとバングラデシュ国境付近の地域コミュニティでも、同じ課題に直面しています。高い人口密度、清潔な水や衛生用品が限られていること、そして既存の医療システムさえも十分に機能しておらず、COVID-19検査や治療にあたることもままなりません。
ラカイン州とコックスバザールどちらにおいても、人工呼吸器が全く足りない、ほぼないに等しい状況であることから、COVID-19感染症による重症化リスクや死亡率を高めてしまう懸念があります。 
バングラデシュ、ラカインの住民、ロヒンギャの人々をCOVID-19が及ぼす甚大な影響と感染拡大から守るために、必要な措置を今すぐ講じることが不可欠です。

通信サービスの制約により、COVID-19に関する適切な情報と予防法へのアクセスが阻まれています。コックスバザールのロヒンギャ難民は、SIMカードを合法的に取得することができません。2019年9月、通信事業者はロヒンギャ難民キャンプでのインターネット通信を制限するよう指示され、キャンプ周辺のコミュニティにも影響を及ぼしています。
ミャンマーでは、今年2月よりラカイン州とチン州にまたがる武力紛争の影響を受けた9の地区にて(内4地区は2019年4月以降)モバイル・インターネットサービスが遮断されています。これら通信の遮断や制限は、衛生環境、COVID-19感染リスク、症状、予防措置のあらゆる面において、通信制限下にある住民間のコミュニケーションや情報共有を妨げ、感染、死亡のリスクを高めます。

インターネットや通信サービスへのアクセスを通じ、私たちはCOVID-19の症状、いつ、どのように自己隔離すべきかを知り、家族や医療従事者、介護ケア従事者などが晒されるリスクを減らすための行動をとります。救急搬送される患者の治療のために、感染患者との隔離措置がとれる医療体制を整備します。
さらに、COVID-19感染拡大を受け、これらコミュニティへの人道支援の介入やエイドワーカーの移動が制限されるなか、バングラデシュ、ロヒンギャ、ラカインのコミュニティの人々にリモートで緊急支援サービスを行う緊急の必要性が高まっています。リモートで衛生、予防教育、心理社会的プログラムを効果的かつ迅速に提供するには、インターネットへのアクセスなくして実現は不可能です。

私たち26の人道支援団体は、バングラデシュとミャンマーの両政府に対し、インターネットと通信チャネルの制限解除を強く求めます。
UNHCRバングラデシュ「通信アクセスは、この危機的状況下での対応を迅速かつ有効に実施するための鍵であり、ロヒンギャ難民キャンプにおけるモバイルデータ通信の制限は解除されるべきである」[2]
COVID-19対応に成功した国々では、人々が最新の科学的根拠に基づく情報にリアルタイムでアクセスできたこと、これもその成功要因のひとつです。 
コロナウイルスは私たちと社会のすべてに影響を与えています。脆弱なコミュニティを守るため、今、あらゆる対策を講じなければなりません。
このパンデミックを終わらせ、誰一人取り残さないために。


List of Signatories

Action Aid Bangladesh
Action Contre la Faim
ADI Humanitarian Assistance
CARE International
CBM International
Christian Aid
Community Partners International
Danish Refugee Council
EDUCO
Humanity and Inclusion
International Rescue Committee
Lutheran World Federation
Medecins Du Monde Japan
Medecins Du Monde Switzerland
Migrant Offshore Aid Station
Médecins du Monde France
Norwegian Church Aid
Norwegian Refugee Council
Peace Winds Japan
People in Need Myanmar
Plan International Bangladesh
Save the Children
Terre Des Hommes
United Purpose
Volunteer Services Overseas
World Vision

[1] 読み書きできない人や文字を持たない言語使用者、子どもに向けた公衆衛生と感染予防メッセージを音声や動画で発信するために、ここではインターネットアクセスを100kbit/s以上の転送速度と定義しています。
[2] https://www.rfa.org/english/news/myanmar/bangladesh-rohingya-covid19-03272020195432.html

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