東京プロジェクト(*1)による”熱中症対策”のはじまり
昨年の夏、東京では猛暑が続き、熱中症で緊急搬送される件数が例年にも増して多かったこと、加えて「ホームレス」状態の方は、経済面、身体面、生活環境等から、対策を講じることも身を守ることもままならない状態で、酷暑にさらされている状態でした。世界の医療団は、医療支援活動を行う団体として、熱中症に対する啓発活動と即時的な効果を狙った対策が必要であると判断し、通常の活動に合わせ、熱中症対策支援を開始する事に致しました。
支援の実施は、多くの人が集まるお盆の夏祭り時期に設定。路上生活の中、長時間屋外で炊き出しや出し物を並んで待つため、熱中症になる方が多く出ることも容易に予測すること懸念されたため、ペットボトル飲料水とチラシを配布し、熱中症の啓発活動を実施しました。啓発用のチラシは、対象者属性の特性(高齢者や知的障がい者など、認知機能が低い方も少なくない)から、イラストやふりがなを使い、理解し易くする工夫をしました。また、後日夜回りの際にも同様の飲料水とチラシを配布。夏祭りの際も公園に来られない、心身面での機能が何らかの理由で低下している方々への対策を追加で講じました。
(*1)東京プロジェクト(ホームレス状態の人々の精神と生活向上プロジェクト)
「医療・福祉支援が必要な生活困難者が地域で生きていける仕組みづくり・地域づくりに参加する」をプロジェクト理念とし、池袋周辺と他の地域でホームレス状態にある方々に向け、医療・保健・福祉へのアクセスの改善、そして精神状態と生活状況の底上げ、地域生活の安定を目的とし活動しています。
>> 東京プロジェクト
開催日 :2012年8月11日土曜日 12時~
開催地 :東池袋中央公園
配布実数 :ペットボトルスポーツ飲料 合計 233人(重複あり)、チラシ 約200枚
熱中症対策の実施により、夏祭りの当日は気分を悪くされる方なども特に出ず、配布されたチラシを熱心に読む対象者の姿が多く確認されました。また、ボランティアとして参加された多くのスタッフの間にも、熱中症に対する意識を喚起し、自分でできる対応策を伝えられたため、以降に熱中症となる方が減少したと思われます。
近年は、公園や駅に設置された水飲み場が減少しており、家のない方の水分確保が難しい状況です。ペットボトルを手に入れることにより、水筒代わりとして水分確保も可能になります。ただし、塩分やミネラル分の摂取については、課題が残ります。
今後もこのような熱中症対策を夏祭りのイベントに定着させ、受益者のみならず、支援者(スタッフ・ボランティア)への注意を喚起し、知識を共有することにより熱中症対策の持続的効果を高めたいと考えています。
ホームレス状態にある方が暑い夏を乗り切ることができますよう、今後ともご支援をお願いします。